August 27, 2007
March 17, 2007
ギャラリー搬入&展示~19日からアラブ現代作家展~
昨日の深夜3時までかけて大量の絵画の梱包を済ませ、今日はなんとかギャラリーまで搬入&展示することができました。これも会員のわたーんとkeroさんのご協力のおかげです。今日はどうもありがとうございました!
かおりんが帰国してからのこの一週間、この展覧会準備のためおおわらわでした。二日連続徹夜の時はさすがにしんどかった・・・。相変わらずののんびりイラーキー(イラク人)ハニ画伯からカタログ作成のための作家データが届くのが遅れに遅れたのも原因のひとつなのですが、まあ彼がいなければこれだけの作品は集まりませんから、こちらもインシャアッラー(神がお望みならば)と己に言い聞かせて、慣れないPCソフトと格闘しておりました。
無事展示できたとは言っても、実はまだサウジアラビアからの作品が届いていない!など、心配事はつきません。ハニさんは、「まあ間に合うよ、インシャアッラー」と相変わらずですが、どうなることやら・・・。
まあインシャアッラーと開き直りましょう。
さて今回は、おなじみのイラク人画家の作品のほか、
スーダン(左)からや、
イエメンからも、
抽象、具象問わず、日本ではなかなかお目にかかれないアラブのアートを多数取り揃えてお待ちしておりますので、みなさまどうか観に来てください!そしてよかったら買ってください!(観るだけなら無料です)
*ほかお知らせ:難航していたラマーディからのイラク人エイドワーカーの来日が急遽決定しました。こちらの招聘企画詳細は近々お知らせいたします。東京での講演は4月2日夜@文京区民センターを予定しています。
■アラブ現代作家展~ARABIAN ART IN JAPAN~
NPO法人PEACE ONの文化交流プロジェクト「LAN TO IRAQ」はこれまで、日本や韓国の数十の都市でイラク現代アート展を開催、2005年、2006年にはイラク人画家のハニ・デラ・アリさんとシルワン・バランさんを招聘しました。「混沌からの光」-未だ戦火の止まない芸術の都バグダードからの一条の光。
そして今回、イラクのみならずヨルダン、シリア、イエメン、エジプト、スーダン、サウジアラビアのアラブ諸国からの作品を一挙に取り揃え、アラブ現代作家展をおこないます。悠久の歴史をたたえたアラブの文化をぞんぶんにお愉しみください。
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会期:2007年3月19日(月)~31日(土)
11:00a.m.~7:00p.m.(日祝休廊/最終日4:00p.m.まで)
※19日(月)5:00p.m.より、オープニングパーティ。飲食物の持ち寄りを歓迎します。
会場:中和ギャラリー
(東京都中央区銀座6-4-8曽根ビル3F/03-3575-7620)
出展国:イラク・ヨルダン・シリア・イエメン・エジプト・スーダン・サウジアラビア
協力:NPO法人PEACE ON (office@npopeaceon.org/03-3823-5508)
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※今回は作家の来日は、予定していません。
May 09, 2006
ハニさんサイト紹介
昨年来日し銀座で個展を成功させた若きイラク人画家、ハニ・デラ・アリさんのサイトが出来たようなので紹介します。
http://www.aldallaaliart.com/
作品の画像解像度がいまひとつで残念なのですが、
記事などけっこう充実してきたようです。
February 18, 2006
ドルマを囲んでイラクの未来を考える
ハニさんの友人のイラク人若手アーティスト、シルワンさんの家を訪ねる。アーティスト仲間で昼食でも、という集まり。なんとイラク現代アート界の巨匠、齢80を越える大老ヌーリ・ラーウィ氏とも2年ぶりに再会できた。来週からここアンマンで個展があるということでシルワンさんの家に滞在しているようだ。ハニさんの奥さん、オム・ムスタファの手料理ドルマを囲んで談笑。それにしてもイラクから避難しているアーティストがこんなに増えているとは。
ハニさん撮影:右から私、ヌーリさん、シルワンさん
シルワンさんは2年ほど前バグダードからここアンマンに移り住んでいる。ハニさん曰くよく名の知れたアーティスト。主にイラクの女性や動物などをモチーフにした抽象的な作風で、古代イラクをテーマにしているハニさんとは違うものの、同じくイラクの文化を現代アートに表現している。構図も色使いもとても洗練されていて、その上古きよき時代のイラクを伝えてくれる逸品ぞろいだ。食後にはモデルに誘われたので早速抽象的な似顔絵を一枚描いてもらった。
ちなみにヌーリ氏はこれまでバグダード市内に4つの博物館を設立してイラクの文化の発展に努めてきたが、今日の状況の中では政府からは全く予算が下りず、また、ユネスコなど国際機関に何度も請願しているのに返事すらないらしく、予算が足りずに維持することが出来ないと嘆いていた。やはりイラクの文化を知らない人が多すぎる。世界がもっとこの人類の文化の宝の存在に気付けば変わっていくはずなのだが・・・本当にもったいない。一人でも多くの人にこのすばらしさを味わってもらい、保存に力を貸してくれるよう、まだまだ精進せねば。
ヌーリさんの作品
夜はハニさんのいとこアブドゥルカーデルさんの家でナツメヤシなどの取引について相談。アブドゥルカーデルさんはイスラム教神秘思想のスーフィズムを教えている大学教授。ちょうどスーフィーに関する本を読んでいるところだったので思わぬところで話が弾んだ。バグダード大学で教えていたそうだが、一年ほど前からここアンマンに移り住んでいる。なんとシーア派政党イラクイスラム革命最高評議会の民兵組織バドル旅団に脅迫を受けたらしい。イラクの医師や学者などの知識人が相次いで誘拐、殺害、または出国などの脅迫を受けているとは以前から聞いていたが、こんな身近なところでも・・・。
破壊されているのはイラクの未来そのものである。
HANI on CNN!
なんと2月3日頃、CNNの番組「Inside the Middle East」にハニさんが登場したらしい。早速録画したCDを見せてもらった。テーマはイラクの子ども達で、ハニさんがアンマンで働いているアニメ制作会社、ルビコン社の取材に来たらしいのだが、ハニさんの作品を見てインタビューをすることになったという。最近東京で個展を開いたイラク人アーティスト、ハニ・デラ・アリと紹介され、個展のパンフレットを指して、「『混沌からの光』というタイトルを付けていますが、この状況の中でイラクの子ども達が光を見ることが出来ると思いますか?」というインタビュアーの質問に、ハニさんは「はい。子ども達には希望があります。この闇の後、必ずや光を見るでしょう」と英語でしっかりと答えていた。
子どもたちもこの番組を見るのは初めてだ。
September 24, 2005
混沌からの光
21日昼はスタッフと現地の会計帳簿の突合せ。夜はイラク人画家のハニ・デラ・アリさんが訪ねてきてくれた。しばらくホテルのロビーで話したあと、シメサニという繁華街にアルギーレ(アラブ式水タバコ)を吹かしに出かける。思えば彼に会うのも昨年8月バグダードであったのが最後だったから、約一年振りである。昨年秋から今年の春にかけて約半年ほどポーランドに古美術修復の技術を学ぶため留学してきた成果だろうか、英語はずいぶん上達していた。昨年と比べるとずいぶんとやせたようだが、元気そうで何より。
今年2月にイラクに帰国してからも治安悪化に歯止めがかからず、5月に家族を連れて一時出国したハニさんは、今も一家でアンマンのアパートで生活している。最近は子ども向けのアニメーションを制作する会社でも仕事を得て働いているそうだ。子どもたちの夏休みが終わり一度バグダードに戻らなければならないとも聞いていたが、アンマンの学校に通い続けることができるというのでそのまま滞在しているようだ。これまではこうしたイラク人の子ども達をアンマンの学校が受け入れるのは3ヶ月が限度だった。しかしこの度それが1年間に延長されたということだ。このように、イラクから逃れてきてアンマンの学校で学ぶ子ども達は昨年あたりまでは10万人ほどだったが、ここ最近一気に増えて30万人ほどだという。実際には100万人くらいはいるのではないかとも聞いた。
アンマンの昼はまだまだ暑いが、夜はぐっと気温も下がり過ごしやすくなる。シメサニのオープンカフェのある通りでは、夜風に水タバコの煙を燻らす人々で遅くまで賑わっていた。ヒジャーブを被った女性までぷかぷかやっている。アラブ音楽のリズムと共に舞い、月夜に溶け入る煙の渦が描く天上のアラベスクに酔いしれる。気がつくともう深夜1時半をまわっていた。
22日、ハニさんのアパートを訪れる。眺めの良い高台にあり、中は白の壁にハニさんの抽象画で彩られていて、瀟洒で清潔感のある部屋だ。新しい作品もいくつか見せてもらった。
遺跡を思わせる質感のマチエールから古代の光が滲み出るかのような色彩の基本的なスタイルに、躍動感のある文様が姿かたちを変えて燦然とした色彩の海を縦横無尽に泳ぎまわる。おなじみの渦巻き文様は、6千年前の美の神イナナに仕えた巫女ワスィーファの象徴。画家の筆を通して顕現したこの美の使者によって、いにしえの尽きせぬ美と知恵の泉から汲み上げられた煌く生命の光が心象の風景と戯れ絡み合い、混沌としたこの地上にやさしく降り注ぎ、忽然と未来への海図が浮かび上がるようだ。その他アッラーの99の名前のひとつひとつをモチーフにした作品など、新たなスタイルの作品も大いに楽しめた。彼の絵は確かに進化を続けている。
子ども達も相変わらず元気そうだ。アトリエにはいくつか子ども達が描いた絵も飾られていた。さすがは画家の息子、娘たちだけあって、豊かな才能を感じさせる。抽象も具象ものびのびと自由に描いている。ハニさん曰く自分の子ども時代より上手いそうだ。長男ムスターファの抽象画はかなり父の影響をうけているが、末っ子ハッスーニの作品は父親も驚くほど前衛的だ。今回は11月に日本であるハニさんの個展の打合せにきたのだが、そのうち家族展が出来るねと笑いあった。
大好きな家庭料理、ドルマを囲んで談笑。昨年バグダードでご馳走になってからというもの、すっかり大好物になってしまった。ハニさんの絵をバックに皆あぐらをかいて車座になりドルマを頬張る。子ども達のはしゃぎ声を聞きながら、あの懐かしの味が口いっぱいに広がるともう気分はすっかりバグダードなのだが・・・。
数ヶ月前にハニさんの親戚の息子が米軍に撃たれ亡くなるなど、家族の安全を考えればここヨルダンに移り住んでいるのも止むを得ないと思う。彼も子ども達のことを考えてこれでよかったと思うと言う。しかし一見元気そうな子ども達も、実はイラクに帰りたがっているらしい。学校でもやはり子ども達のメンタリティーがイラクとヨルダンでは違うらしく、すぐには馴染めないのだろう。
ホテルに戻ると、また大きな荷物を大量に積んだ車が。今ではこのホテルの宿泊客のほとんどがイラクから逃れてきた人たちだそうだ。日ごとに混沌の度合いは増し、生と死の閾で喘ぎ続ける人々に、光が注がれるのはいつの日か。
August 29, 2005
アジアの熱風
「アジアの熱風 HOT WIND OF ASIA」@銀座中和ギャラリー、今日からはじまりました。
今回LAN TO IRAQからは、 おなじみ重鎮ムハンマド・ムハラッディーン (青い版画)、 そして30代の若手作家シャッダード・アブドゥル・カハーの「天使達」が出品されてます。 (共にイラク人作家です)
ムハラッディーンさんの図録も置いていますので、 オーナーに言えば見ることができます。 (ポストカードも売ってます)
夏は連日50℃を超えるイラクから、戦争だけではないアートの熱風、感じてください。(今回の作品は涼しい感じですが)
他にも、バングラディッシュやトルコ、 そしてモルドバ、フィリピンからと、 興味深い作品が集まっていますので、ぜひどうぞ。
April 05, 2005
イラク現代アート展示のおしらせ
銀座の中和ギャラリーにて2005年4月4日(月)~9日(土)開催の「アジアの息吹 BREATH OF ASIA」に、LAN TO IRAQ(PEACE ONのイラク現代アートコレクション)からもイラク美術界の重鎮ムハンマド・ムハラッディーンと、ヘワー・アート・ギャラリーのオーナーで自らもアーティストであるカシム・アル・サブティの作品を出品しています。入場は無料ですのでぜひお立ち寄りください。
March 05, 2005
ハジムの人質?(3日)
JVC原さんとイラク人アーティストのハジム・アルブスターニさんのアトリエを訪れる。昨年夏に胆石を摘出するという手術をしてから、一時期は絵筆も握れないほどに体力が落ちていたと聞いていたので心配していたが、今では大分良くなったらしい。幾分老け込んだ感はあったが、相変わらずまるで指揮者のように全身を使って情熱的に話すので安心した。体調回復と共に作品も出来上がっているようで、いくつか新作も見せてもらった。手術後の彼の作品には、フルーツなどやわらかく暖かい色彩のものが多く、以前よりとても落ち着いた印象である。
驚いたのがこの作品、まるでハジムさんの化身のような水牛の物の怪に囚われている桃色のコスチュームを着た東洋系の女性は、あの増山麗奈画伯ではないのか?どうやらそのようで、「これでようやくRenaとの約束を果たしたよ」とハジムさん。昨年末初めて彼女とこのアトリエを訪れた際、麗奈さんとお互いの肖像画を描くと約束して、彼女はその場で早速すらすらと描いてしまったが、ハジムさんは「僕は描くのに時間がかかるから」と、こうして一年越しで完成させたわけである。(ちなみに麗奈さんが描いたハジムさんの肖像画は、今回私に預けて彼に届けるはずだったのに、彼女はまんまと忘れていた)
それにしてもあれから一年。あの後麗奈さんと二人でイラクに入り、LAN TO IRAQプロジェクトが始まったわけであるが、今振り返ると本当にいい時期にイラクに入ったなあと思う。高遠さんたちが拘束されるちょうど一ヶ月前だったわけだから、あの時期を逃していたらこのプロジェクトは始まっていなかっただろう。あれからハジムさんの絵も、ソウルから沖縄までずいぶんあちこちと旅を続けてきた。
「Renaはいつ来るんだ?」とハジムさんはいつも聞く。想いが高じて絵の中に拘束してしまったのだろうか。彼女を捕らえる艶かしい手つきは、エロスをテーマにした彼女の作品と見事に呼応しあう。ぜひ彼女との二人展をここアンマンで開催したいらしい。麗奈さん、このブログを見ていたらぜひハジムさんに連絡してあげてくださいな。しばらく連絡がないといってとても心配していましたよ。
夕食をご馳走になったあと、いつものように深夜一時過ぎまで芸術から中東の政治情勢まで語り合う。まさに家全体がアートと呼べるようなユニークな装飾に囲まれて、実に豊かな時を過ごした。
February 25, 2005
シリア人アーティストALWANI氏(23日)
通りを歩いていてふと目に付いたポスターがあり、どうやら現代アートの展覧会のようなので行ってみた。ギャラリーは国会議事堂近くの路地にあるアパートメントの地下にひっそりと門を構えていて、中には30点ほどの作品が展示されていた。生命の原初的な躍動を感じさせる力強いフォルムと色彩に魅了される。シリア人アーティストのALWANI氏の個展のようで、作家本人もいたので少し話をすることが出来た。
イラク現代アートプロジェクトLAN TO IRAQのことを話すと、やはりイラク人作家のヌーリ・アル・ラーウィー氏のことは知っていて、有名なイラク人作家イスマエル・ファタ氏とは親友なのだそうだ。彼も今のイラクを憂い、作家と自由な交流が出来ないことをとても悲しんでいたが、それでもアートが人々の意識を変える力を持ち、それによって世界が変わっていく可能性について、瞳を潤ませながら情熱的に語ってくれた。また、日本をはじめ東洋の美術にも影響を受けたといって評価していた。
気に入った作品は売約済みだったが、今後もダマスカスで個展をやるそうなので楽しみだ。偶然とはいえ、このシリアアートとの出会いは嬉しかった。普段はベルギーに住んでいるらしく、パソコン等は人類が堕落する元凶だと言ってメールなどは一切やらないそうなので連絡を取り合うのがちょっと大変だが、今後につなげていければと思う。
より以前の記事一覧
- アートレジスタンス 2005.02.04
- トークイベントのお知らせ 2005.01.23
- イードルアドハー(犠牲祭) 2005.01.21
- 銀座中和ギャラリー「アジアの新生」でイラク現代アート 2004.12.16
- LAN TO IRAQ~らくだ報告~ 2004.12.08
- イベント報告諸々(ナスィール・シャンマ公演) 2004.12.07
- LAN TO IRAQ 明日から「らくだ」で 2004.11.29
- 沖縄-イラクに最も近い日本 2004.10.16
- 雲のゆくえ 2004.10.04
- ソウル-東京-沖縄、人とアートがつながるLAN TO IRAQの旅 2004.10.03
- 京都~東京そしてイラク 2004.09.17
- ルオー版画展、その他徒然に 2004.09.08
- Hiroshima-Nagasaki to Iraq by Hani 2004.08.10
- ヒロシマ・ナガサキそしてイラク アートでつなぐ歴史の記憶 2004.08.08
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