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August 22, 2007

前回記事の補足とお詫び

引き続きサラマッドのメールからイラク現地情勢について書こうと思ったのですが、前回の記事に対してコメント欄で指摘があったように、現地の声をそのまま載せただけでは、どうしても偏ったイメージを与えてしまう危険があるので、ここで少し補足しておきます。

友人でありイラク人現地スタッフのサラマッドの家族はイスラーム教スンナ派です。以前はスンナ派もシーア派も一般市民は特に大きな問題もなく共存していたバグダードですが、占領後政治的対立が激化して宗派間暴力に発展し一般市民も巻き込まれてしまった現状では、悲しくも両派の棲み分けが進んでいます。よって彼の周囲から聞ける話は、基本的にはスンナ派イラク人から見た現状のほんの一部、まさに壊された日常の「かけら」です。

同じスンナ派イラク人でも、地域によっては全く別の意見もあるでしょうし、シーア派イラク人ならなおさらでしょう。また、特にバグダードに関しては、住んでいる地域によって状況はかなり変わりますし、他地域への外出も困難なため、隣の地区で何が起きているのかもわからない状態です。乱立しているメディアも宗派主義に偏ったものが多いので、どのメディアを見るかによっても意見は大きく変わってくると聞きます。ですから今回は直接体験した声を大切にして紹介してみました。

今はイラク人というだけで、宗派民族国内外問わず多かれ少なかれ困難な状況に置かれているのは間違いありません。これまでシーア派イラク人からの意見も何度か取り上げてきました。ただ、私の友人にはスンナ派イラク人のほうが多いので、どうしても全体的にはスンナ派イラク人の見方に偏っているところはあると思います。

しかしまた、前記事のコメントレスにも書きましたが、一般報道で取り上げられるのは派手な事件ばかりで、しかもいつも枕詞のように「スンナ派武装勢力の犯行とみられる・・・」という憶測がついてまわるので、どうしても一般的にはスンナ派のイメージが悪くなってしまっています。実際には、バグダードではスンナ派狩りなどが横行して、まるで民族浄化のようなスンナ派受難が続いているのですが、そういう事実はあまり報道されていません。

友人の憤りはよくわかりますし、私としても、友人の「伝えてほしい」という声を無視することはできません。しかし指摘された通り、前回の記事のままでは背景の説明が足りないので、特に初めてこのブログを読んだ方には偏ったイメージを与えてしまう危険があるのは間違いありません。疲れていたからといって、あのような紹介をするべきではありませんでした。ここに補足のうえお詫びします。

本当はこのブログでこうした記事はあまり書きたくないし、活動に関する記事だけを書いていたいものですが、こうした現状が活動を妨げている現実もあるわけですから、決して避けて通ることはできないと考えています。それにしても、こうしてスンナ、シーアと補足しなければならないこと自体、このイラク戦争と占領がもたらした最大の悲劇のひとつなのかもしれません。

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