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June 27, 2007

久しぶりにバグダードの様子を

国外避難中のイラクの友人から再びメール。ようやくバグダードの家族と連絡がとれたそうで、何とか無事だったということで一安心。とはいってもひどい状況には変わりない。

家族の住むドーラ地区は激戦区の一つだが、ついに米軍はドーラにもアザミヤ地区同様に宗派間抗争を防ぐという名目で地域を分断する「壁」を拵え始めたらしい。

アザミヤ地区といえば、そこに住む友人のジャーナリストからは、従兄弟が遺体留置所で発見されたと目も当てられない写真が送られてきた。「スンナ派」という理由だけで民兵に殺されたのだという。

また、米軍は市内の武装勢力の掃討を名目にした大規模作戦の中で、大量のクラスター爆弾を使っているようだ。ドーラでは怖くて外出できないどころか、庭に不発弾と化した子爆弾が散らばっていることもあり、自分の家の庭にすら出られないという。

米軍による家宅捜索も増えている。米兵は、「通りに路上爆弾を仕掛けた奴は誰だ」とお父さんに問い詰める。お父さんは、「外出していないからわからん」と答えると、「では誰が働きに出て、家に食糧を運んでいるんだ?」と米兵。この家族の場合、現在皆仕事を失い、教員であるお母さんの収入のみに頼っている。米兵はお母さんを別室に閉じ込めて問い詰めるが、当然お母さんがそんなこと知るわけがない。苛立った米兵は「Fuck You!」と家族に罵声を浴びせ、「もし再び爆発があったらお前を逮捕する!」とお父さんに吐き棄てて出て行ったという。一時期は、いきなり殺されたりもする民兵や警察の家宅捜査に怯えていて、皮肉なことに米兵が来ると助かったとすら思っていたほどだったが、再び米軍の恐怖に覆われているようだ。お父さんは心配だからと娘を再び郊外の親戚の家に避難させた。

路上爆弾といえば、最近では大通りに米兵がうようよしているせいか、小さい路地や民家の前に仕掛けるケースが増えているようで、家主が武装組織から「爆弾を仕掛けたから家を出ろ」と警告されることがあるという。多くの家主は報復を恐れ通報もできず、恐怖から家を出てしまえばやがては爆破され、挙句の果てには米軍に、「なぜ知っていて通報しなかった」と拘束される始末。以前聞いた、「髭を剃れば背教者と呼ばれて反米武装勢力から命を狙われ、髭を伸ばせば今度はテロリスト容疑をかけられて米軍に拘束されるんだ」という板挟みを思い出す。

さらに驚いたことには、以前は住民から武器を取り上げていた米軍が、いまではアルカーイダと戦えと住民に武器を配っているというのだ。これはドーラに限らず、いまやイラク西部と北部全体でそうだというのだが、つまりはスンナ派住民に武器を配っているということであり、このままでは新たな民兵集団が現れ、宗派間暴力がさらにエスカレートすると多くの住民が怯えているそうだ。当然だがシーア派のマリキ政権もそんなことするなら南部住民にも配ると反対したが、結局アメリカの案を呑まざるを得なかったようだ。友人は、イラク政府はスンナ派が強力になるのを黙認するわけがない、水面下で南部やシーア派住民に武器を配るに違いないと見ている。

先日の高級ホテルでの爆破攻撃も、報道ではアルカーイダによる自爆と見られるとして片付けられているが、地元では、「50度もの猛暑のなか、爆弾ベルトなんか身体に巻いて、グリーンゾーン付近の米軍とイラク軍による厳重な警備をかいくぐれるわけがない。政府関係者以外には考えにくい」という見方が強いようだ。犠牲者の多くが、米軍から武器の支援などを受けていたイラク西部と北部のスンナ派宗教指導者など有力者であり、中には20万人も従える大部族長も含まれていたという。連中がこのまま黙っているとは考えにくく、これからさらに宗派間暴力が激しくなるのではないかと心配しているそうだ。

こうしてみると、米軍が辛うじて護っている治安もあるのだろうけれど、やはり米軍の存在と行動が宗派間の憎悪を煽り立てていて、結果的に治安が悪化していくという流れのほうが深刻ではないだろうか。「米軍という存在がこの混乱の元凶なのは間違いないが、だからといって今米軍に出て行かれたら宗派間暴力に歯止めがかからなくなるから困る」という類の葛藤に苦しむ人々が増えているように、確かにここまできてしまうと、もはや米軍が撤退すれば全てが良くなるというような単純な話ではないにせよ、私にはやはり米軍がイラクに存在し続ける限り宗派間暴力も拡大する一方のように思える。

以上、友人から久しぶりにバグダードの家族周辺の様子を詳しく書いたメールが来たので取り急ぎここで紹介してみた。もはや日本の報道では犠牲者数と概要位しか出てこないから、少しでも現地の様子を伝えられたらと思う。

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Comments

AP通信が7月15日付で、米空軍が無人偵察爆撃機「プレデター」を今年秋から来春の冬季にイラクへ戦隊で派遣する計画、と書きました。
勿論、ワシントンからの遠隔操作で、って所が米国的に損兵率減少に向けたミソなんですが(現地の人の事は相変わらずお構いなしで)。
最新兵器は実戦テストしたくて堪らない原産石油複合体の性質から、少なくとも来春まで、米軍イラク撤退はあり得ないって事なんでしょう。

Posted by: 田仁 | July 18, 2007 at 06:03 PM

田仁さん、コメントありがとうございます。確かにアメリカの反戦運動を見てみても、要はこれ以上自国の兵士が死ぬのに耐えられないという人々が多いようですからね。このままでは仮に米軍が撤退してもイラクの地獄は変わらないどころか、もっとひどくなるかもしれません。この地獄の原因である米軍の撤退は必須ですが、国際社会が命がけで関わっていかなければ、この地獄の業火はやがて世界中に広がっていくと思います。

Posted by: yatch | July 26, 2007 at 02:10 PM

蛇足とは存じますが、プレデター機の大体を操作するのはネバタ州グルームレイクの地下基地辺りらしいです。
「未確認非攻物体」こと最新式航空機とか、「銀色に輝く宇宙人」ことアルミ防御服を着た米軍人が出没するので有名になった「エリア51」付近の。
昨年パレスチナで試作使用された「防デモ隊」マイクロ・ウェーブ兵器も「銀色に輝く宇宙人」が長年、研究の助手を務めたとか。
軍産能源複合体の牙城の1つとして知られています…。

Posted by: 田仁 | July 27, 2007 at 06:55 PM

田仁さん、

いっそ本物の宇宙人が黒い宇宙船にでも乗ってやってきて、開国ならぬ開星なんぞ迫ってくれれば、地球上で戦争なんかやってる場合じゃなくなって、まとまるかもしれないのになんて夢想してた頃もありました。

Posted by: yatch | August 01, 2007 at 03:27 PM

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