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June 23, 2007

はじめての防衛省

Imgp7463_120日(水)、友人のジャーナリスト志葉玲の音頭で、増山麗奈画伯、参議院議員候補の川田龍平さん、写真家の森住卓さんと一緒に、防衛省へ申し入れ書を渡しに行く。例の自衛隊情報保全隊による監視対象にされたことへの抗議のためだ。

担当者は、防衛大臣の答弁をなぞる通り一遍の説明のあと、「自衛隊員の安全を脅かしたり、隊員を不安にさせたりするような外部からの働きかけから隊員を守るために情報を集めていた」と話すので、「もし私がサマーワの宿営地前で抗議活動等をしていたというならまだしも、イラクで画家と出会って交流したことや、子ども達への支援活動のために医薬品関連の情報交換の電話をしたことまでこと細かく記録されるのはなぜか?こうした活動すら隊員の安全を脅かす活動にあたると解釈されるのか?だとすればその基準をもう少しはっきりと教えてほしい」と質問すると、「一般論で考えれば、画家との交流が対象になることはないでしょう」と前置きした上で、「イラクに関することであれば対象になることはありえるかもしれませんが、その基準をお伝えすることはできません」と言う。なるほど監視対象の基準などは情報保全隊内部で恣意的に決められる仕組みになっているというわけだ。

私の場合、イラクでの画家との交流や支援活動という理由などではなく、「人間の盾」経験者ということで監視対象にされていたのだろう。前にも書いたとおり、自分自身はこの程度のことは覚悟していたので、別に今回のことがあったから発言や活動を控えようとかは全く考えていない。心配なのは、これから何か発言なり行動なりしようとしている人々が、「こんな風に調べられるくらいなら黙っておこう。政治的な色がつくのも嫌だし・・・」などと、自分も調査対象になるのでないかと不安に駆られて萎縮してしまうのではないかということだ。

今回のことを、「一般に公開されている資料等の情報を集めただけだし、別に問題ないんじゃないの?」と感じる人も多いと思う。確かに、盗聴や直接的弾圧などがあったわけでないだろうから、私も今回のことに限定すればそれほど大きい問題だとは思っていない。しかし問題はその集めた情報の評価の仕方と、あいまいな対象基準がこれから際限なしに拡大していく可能性である。ぜひ公表された資料に全て目を通してみて、その分類の評価の仕方の「気持ち悪さ」を味わってみてほしい。そしてそこに自分の名前が入っていたらと想像してみてほしい。それでも問題ない、気落ち悪くないと言い切れる人がいるとすれば、その人はすでにその「気持ち悪さ」を作り出している人間のひとりなのかもしれない。

結局担当者からは、我々の申し入れに対する返答はもらえなかった。はっきりしたことは、今後もこうした監視・調査活動を続けていくということだ。最後に「何のために?」と質問すると、「わが国と国民の安全のために・・・」とはじめるので、「ではたとえ国民がその調査によって不安に駆られるという本末転倒な結果になっても続けるのですね?」と付け加えると、時間切れもあって答えてくれなかった。

少しでも気持ち悪さを取り除けたらとも思ったが、ますます気持ち悪くなってしまった。やはり20分やそこらでは短すぎるというのもある。もっと話し合う場が必要だとも感じた。

もちろん私も、今回のことは別にたいした問題ではなかったで終わることを望んでいる。結果的に、「ほら杞憂でしょ。なに騒いでんの?」と、変わり者扱いされて終わりなら、それはそれで素晴らしいことだ。しかしこういう権力による恣意的な行動は、放っておくと増長するのが歴史の常である。もう何も言えない気持ち悪い社会になっていたと、気付いてからでは全てが手遅れになってしまう。

取材のため、正門の「防衛庁」から「防衛省」に架け替えた看板の前で長時間立っていると、直射日光のためか頭がくらくらして気持ち悪い。やがて轟音と共にビルの隙間からヘリコプターの黒い影が姿を現し、暑さもあってかつてバグダードで見た風景と重なり合った。しかしバグダードでこの速度で飛んでいたらもう撃ち落されているだろうと気付き我に返ると、日産のバス「シビリアン」が自衛官を乗せて正門をくぐる。なるほど、「シビリアン・コントロール」とはこのことかいと軽口をたたいて家に帰ると、改正イラク特措法成立のニュース。イラクの友人からは、イラク国内はますますひどくなる一方だ、電話断線でバグダードの家族と10日も連絡が取れていないと嘆きのメール。この気持ち悪さは暑さだけではないようだ。
Imgp7464

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Comments

「申し入れ」「抗議」のことを防衛省の人たちは「陳情」と呼んでるんですよね。
はあ? と思ってしまいました。
http://www.mkimpo.com/diary/2007/notice_to_mod_07-06-20.html

Posted by: かめよん。 | June 23, 2007 at 08:35 PM

月の石撮影隊?おつかれさまです

「国のやることに間違いはないから、『申し入れ』や『抗議』などはくるはずがない」ということなんでしょうかねえ。他にも、話していて時々単語の意味がかみ合わないというかなんというか、違う言語ではないかとすら思うこともありました。会話をしたという実感がないのです。

Posted by: yatch | June 25, 2007 at 01:56 PM

蛇足かも知れませんが、長文ご容赦…。
「警察予備隊は、治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動するものとする。警察予備隊の活動は、警察の任務の範囲に限られるものであつて、いやしくも日本国憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その権能を濫用することとなつてはならない。」(旧法ながら、警察予備隊令第3条第1項・同条第2項)
「自衛隊員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。自衛隊員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。自衛隊員は、法律により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。」(自衛隊員倫理法第3条・同条第2項・同条第3項)
「公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する。」(刑法第193条)
後、憲法99条とか15条ですか。
ネット右翼が言う事は殆ど嘘と思っても間違いでは無い様に思います…。

Posted by: 田仁 | June 27, 2007 at 11:56 PM

なるほど。
私としては、仮に法的にグレーゾーンだったとしても、今回のようなことを放置した場合の行く末を心配しての抗議でした。それにしてもミート社には怒るのにこちらはほぼ放置しているメディアの状況を見ると、やはり行く末の心配は杞憂では終わらないのかもしれません。

Posted by: yatch | June 28, 2007 at 11:14 PM

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