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May 17, 2007

アンマンから

5月11日に36歳になった。二十代の後半あたりからだろうか、時々自分が今何歳だったっけと本気で忘れるほど年齢を意識しなくなっている。つれからプレゼントにもらった巨大な竹箒でさっそく玄関先を掃いてみた。箒の大きさに比べると実に掃除のし甲斐のない狭い面積だが、毎朝早起きをして庭先を掃除するくらいのお勤めはしたいなあと思う年頃である。

しかし翌日には旅に出るため一度掃いただけで箒は留守番。12日、バックパックを担いで「イラクに咲く花in豊橋」に参加。昨年同様アラブの民族衣装ディスダーシャとクフィーヤを身にまとい、なんちゃってイラク人?になりすます。漫才にならない夫婦トークでイラクの棗椰子とチャイを話すと、ふたり息の合わないところが不思議と受ける。

終了後、終電で半田の義姉さん宅へ。義姉は牧師夫人。日曜の翌朝は隣の小さな教会での礼拝に加わり、夜の出発までのんびり過ごす。今回は初の名古屋空港発。空港に銭湯があると聞いていたので、チェックインを済ませ息を弾ませていくと入り口に閉店の看板が。10時閉店だが入場は9時までだったようだ。楽しみにして風呂に入らずにいたのに、がっかり。一気に疲れが出て機内ではふて腐れて眠る。

ドバイでの乗り換え時間も短く、14日朝にはもうアンマン。イラク人画家ハニさんの新居近くのアパートを借りる。ダウンタウンから離れて滞在するのは初めてだ。雨も降り、思いのほか肌寒いアンマン。街は特に変わっていないはずなのに、あちこちの看板のアラビア語が目に飛込んでくる。やはり文字が読めるようになると風景が変わる。下手くそでもアラビア語だけでがんばって話すと、みんなの表情も和らいできて、これまでにない笑顔を見せてくれる。世界が変わらないと嘆く暇があったら、こうして自分を変えていかなければ。

引っ越したばかりのハニ一家。ラマーディーのお母さんが目の手術のためシリアの病院に。一家で訪ねたいのだけれど、新しいパスポートの更新がまだなので、このままではヨルダンに戻れなくなるかもしれないと、何とかお母さんがアンマンに来られないかと奔走している。かれこれもう2年も会っていないそうだ。バグダードから訪ねてきた従兄弟は、アメリカの企業と提携してイラク国内の世論調査の仕事をしているが、いつかは家族でアメリカに住むつもりだという。ダルブナーギャラリーのマネージャーは、今度シドニーに移り住む。国連に何度も申請に行って、やっと許可が下りたそうだ。ヨルダンで暮らすイラク人の不自由さを厭って、ハニさんも同様に移住を考えてはいるものの、イラクでの生活をぶち壊した連中の力を借りてまでするのはまっぴらごめんだと憤る。それでも移住を考えるだけで、まるで故郷を裏切るような罪悪感に胸が締め付けられるという。数ヶ月前に逃れてきたバグダードのムスタンシリア大学の教授は、避難先のホテルで毎日著書にとりかかりながら、イラクの若者向けに民主主義と融和と寛容の精神を養う書物を翻訳出版し無料配布するプロジェクトを友人と計画している。医薬品や食糧支援などには予算を出しても、どこも教育には出してくれないと嘆いている。それでも、この国の混乱を治めていくには教育しかないと信じていて、たとえどれだけ長い時間がかかろうとも実現させたいと、大きな躯体に不釣合いな可愛らしい目を輝かせて話す。

このように、さまざまなイラキーが、引き剥がされた故郷に、さまざまな想いを抱き、この異国の地で毎日を過ごしている。今回は名古屋での銭湯からへま続きでどうも凹むことが多いけれど、この絶望的な状況のなかでも、決して希望を棄てていないイラキーに出会うとやはり力が湧いてくる。

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ハニさんの末っ子ハッスーニを学校まで迎えに行く

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Comments

お便りを首を長くして待っていました。
36歳おめでとうございます!!
今年の誕生日プレゼントは何と申しましても可愛い奥様ですね。
でも、神様からの美しい贈り物から箒をプレゼントとは?
プレゼントされたんじゃなくてプレゼントになっているってこと?
召使?ハリーポッターにしては年だし・・・
ところで、お風呂は?

Posted by: うだすみこ | May 19, 2007 at 09:57 AM

Iraq Todayに"The Street Orphans in Baghdad”の記事がありました。教育支援についてはさまざまな形があろうかと思います。本当に考えさせられます。

Posted by: うだすみこ | May 19, 2007 at 10:28 AM

>時々自分が今何歳だったっけと

 私も最近自分が何歳なのかさっぱり分からなくなりました。単なるボケかも知れませんw

 やはり、言語からコミュニケーションに入ると「共通の文化を理解している」と思ってもらえるので周囲との打ち解け方が早いのですね。

 最近は、またしてもレバノンで不穏な事件が起こりました。もうどうなっていることやら。シリアからのムジャが大勢流れ込んでいるようですね。イラクからの残党も紛れているのかも、などと考えるとつらくてやり切れません。

Posted by: わたーん | May 23, 2007 at 11:26 AM

うだすみこさん、

今回は接続状況が悪く報告できずすみませんでした。やっぱりお風呂は日本が一番ですね。

わたーんさん、

レバノンでの事件は現地のTVでしりました。サラマッドも聞いたことがない民兵だと状況を把握するのに戸惑っていました。こうしてイラクでの過ちが燎原の火のように周辺地域にもひろがっていくのを見るのは本当にやり切れないです。そしてその火を消すどころか、あついあついと団扇で自らを扇ぐだけで、むしろ風を送り込んできた国際社会の怠慢を思うとなおさらです。

Posted by: YATCH | May 25, 2007 at 04:31 PM

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