彼方の空を見上げて歩く & ■イラク人青年招聘イベント「イラクの空には何が見える?」のおしらせ
3月19日のアラブ現代作家展のオープニングに来ていただいたみなさま、どうもありがとうございます。おかげ様で無事に開催することができました。(サウジからの作品がまだ届いていませんが・・・)展覧会は31日までやっていますので、まだの方はこれからでもぜひ観にいってください。また、オープニングに間に合わなかった記念図録(¥800)も今はギャラリーにて販売していますのでよろしくお願いします!
さて、昨日21日は少し遅刻してワールドピースナウの集会&デモ行進に参加。イラク開戦からもう4年。「忘れないように」と、節目節目にこうしたイベントをすること自体は大切なことだと思う。これまでも可能な限り参加してきた。しかし、今回ほど歩いていて自分の一歩一歩が惨めに重く感じられることはなかった。歩く前からそうなることはわかっていたので、いっそ行かないでいようかとも思っていた。毎日のようにイラクの友人から現場の地獄を聞かされている自分にとって、なにも地球が太陽の周りを一周したという節目に思い出さなくても、地球が一回自転する間に何度もイラクのことは考えている。あの日は別に特別な日ではなく、日常の一部なのだ。そのイラクで地獄と変わり果てた日常を営む人々にとっても、きっと特別な日でもないと思う。それでも、そうじゃない人々に向けて、「忘れないように」と訴えることは大切だし、何事もそうだが、たとえそれがつまらないと思っていても、自分は行かないでおいて外からつまらないと批判するのはずるいと思うので、たとえ批判するにもそこに自らの身を置いてから批判しようと思い参加した。
歩いてみたら、やっぱりつまらなかった。一歩、一歩を踏みしめながら、ビルの谷間の彼方の青く晴れ渡った空を見つめ、4年前に初めてデモに参加したときの自分を思い出した。イラク戦争がどうしても許せなく、一人悶々としていた職場を飛び出して、生まれて初めてデモというものに参加したのは2003年の1月18日、やはりこのワールドピースナウだった。自分と同じように、何か団体に所属しているわけではなく、ただ戦争に反対する個人としてたったひとりでやってきて歩いている人がずいぶんと多かったので、ああ、自分だけじゃないんだ、と嬉しくなった。一歩、一歩、空を見上げて「戦争反対」と唱えていると、己の無力さに打ちひしがれていた自分の心に光が差し込んできて、「何か出来るはずだ、動き出そう」という気持ちになった。つまりデモは私のハートに火をつけたのだ。
一度そうなると、爆弾を落とされるかもしれない空の彼方が気になって気になってどうしようもなくなってしまい、気が付くとその空の下、イラクまで行ってしまったのだ。本気で戦争をとめたいという自分の気持ちと、東京でデモをして歩いているだけという現実の自分とのギャップが、耐えられないほど大きくなってしまったからだ。本気で戦争に反対しているというのを、身体をかけて訴えたかったのだ。
実際にイラクに行ってみて、そのギャップは大いに縮まった。しかし結局戦争は止められず、人間の盾としてバグダード陥落まで残っていても、出来たことなんて、空襲下でイラクの人々と同じ釜の飯を食って友達になったことくらいか。盾がいたからライフラインの空爆が防げたというのも、いなかったらどうだったかとは試せないので確証がないし、本当に役に立ったことなんて、おそらくイラク人立ち入り禁止区域の遺体収容を手伝ったことくらいだろう。戦争を止めるにも、人々の命を救うにも、結局はなにひとつ役に立たず、これまでに感じたことのない新たなギャップに苛まれた。
結局誰も戦争を止められなかったのだから、人間の盾をはじめ、すべての反戦運動は失敗したのだ。同じことを繰り返しても、戦争は決して止められないだろう。ではどうすればいいのか。NO WARと反対しているだけでは、例え一度成功して止められたとしても、また次の戦争は止められないだろう。経済から政治まで、戦争が繰り返される社会の構造そのものを変えていかなければいけない。これは一度何か気の利いたイベントをやれば出来るという類のものではなく、日々の不断の努力の継続として、まさに一生をかけて、いや、むしろ全人類的な課題として、次の世代はもちろん末代まで引き継いで取り組んでいくべき問題だろう。つまり日常の生活そのものが問われているのだ。どんな仕事をするか、何を買うか、どんな発言をするか、誰に投票するか、等等。これら我々末端一人ひとりの行動が、積み重なって、複層的に絡み合い、この得体の知れない社会が生まれている。一握りの人間が全てをコントロールしているなどいうどこかで聞いた陰謀論で片付けられるほど単純な構造ならば、その一握りの人間さえいなくなれば世界は平和になるのだろうが、そうした発想は善悪二元論で対テロ戦争を喧伝する輩と何ら変わらない。問われているのは、得体の知れないこの社会の一部でもある自分自身はどうするのかということだ。
「There is no way to peace, peace is the way」という大好きな言葉がある。あるアメリカの平和活動家の言葉だそうで、私がイラクに行く前に流した決意表明を読んだアメリカ人が激励のメールをくれて、その中でおしえてくれた。平和を目的として考えると、「平和のために」などと言って戦争をやらかす輩がいる。だから目的は共に生きることにして、平和はあくまでもそのための道、不断の手段として考え、むしろ動詞として使っていこうと考え、新たなギャップを埋めるための第一歩として立ち上げたNGOを「PEACE ON」と名づけてみた。
NPO法人になってからもう少しで3年になる。イラクの人々に喜んでもらえることを、少しは出来たのかもしれない。たった一人でも喜んでくれる人がいれば、何もしなかったよりはましだし、その一人の喜びによって私も今日まで生かされてきた。しかし、イラク戦争から4年、これまで自分がやってきたことと、現実に起きていることの深刻さのギャップはますます広がっていくばかりだ。
一歩、一歩を踏みしめながら、あの4年前に見上げた空を思い出し、はるか彼方の空を想い、4年前と今のイラクとのあまりの違いに押しつぶされそうになった。一歩、一歩、踏みしめるごとに、今この刹那もイラクで殺されていく命を想像し、その重さに耐え切れなくなる。一歩、一歩、これまでの自分の歩みを振り返り、結局またここ東京から、さらに遠くなってしまったイラクの空をビルの谷間から仰いでいる自分に気付き、惨めさに足が震えてしまう。それでも、生かされて命がある限り、一歩、一歩、今日も歩いていくしかないのだ。
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以下、イラク人青年エイドワーカー来日企画のお知らせです。PEACE ONもビザ申請に協力しました。一時は無理かと思っていましたが、イラクホープネットワークの皆さんと在ヨルダン日本大使館の協力によって急遽来日が実現しました。期間があまりありませんが、宣伝&ご来場よろしくお願いします。この機会に一人でも多くの人にイラクの人の声を聴いてもらい、彼方の空の下で何が起こっているのか、しってもらいたいと思います。おお、もう明日には来日して家に来るのでこれから掃除せねば!
※転載・転送歓迎です。
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緊 急 開 催!! イ ラ ク 開 戦 か ら 4 年
戦 闘 地 域 ラ マ デ ィ か ら の 報 告
『 イ ラ ク の 空 に は 何 が 見 え る ? 』
~ あるイラク青年の体験 ~
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「テロとの戦い」の最大拠点と名指しされた
イラク西部アンバール州ラマディ
先月22日 ラマディ上空に米軍の戦闘機が飛来
4軒の民家に爆撃 死者26名 負傷者多数
家屋は潰され 学校は占拠された
食料配給なし 医療配給なし
空が恐怖に染まって4年
増えていくのは民間人死者数とその遺族
そして 報復を誓う抵抗勢力
なぜ ラマディは「テロとの戦い」の
最大拠点となったのか?
なぜ 彼は米軍に拘束されたのか?
世界中のメディアが近づけない戦闘地域ラマディから
1人の青年が自分の体験を語るために来日した
◎プロフィール◎
カーシム・トゥルキ(31歳)
1976年11月27日生まれ。エイドワーカー。
イラクアンバール州ラマディ在住。アンバール大学機械
工学部卒業。イラク戦争中は共和国防衛隊に所属。
イラク戦争直後4月28日にファルージャで起きた米兵に
よるデモ参加者乱射事件をバグダッドのメディアに報せに
来たことをきっかけに、フリーのガイド兼通訳として米
テレビCNN や日本人ジャーナリストに同行。
同年6月、日本人と同行取材中に米軍に不当逮捕され
9日間拘束。釈放後「イラク青年再建グループ」を主宰。
これまでに学校などの修繕工事、診療所開設、避難民への
緊急支援などを行っている。
2004年からは日本の民間支援「ファルージャ再建プロ
ジェクト」と協同し現場の指揮を執っている。
昨年はラマディの様子を英語で記したブログがアメリカを
中心に話題となるが、それを理由に再度米軍に拘束された。
●全日程●
3月25日(日)14:00~ 埼玉
(※高遠菜穂子報告会のゲストとして)
会場:秩父市歴史文化伝承館(中央公民館)
(秩父市熊木町8-15/西武秩父駅より徒歩4分)
参加費:500円(高校生以下無料)
主催:秩父市ユネスコ協会準備会
3月26日(月)18:30~20:30(開場18:00)札幌
会場:かでる2・7 6F学習室(札幌市中央区北2西7)
資料代:500円
主催:カーシムさんのお話を聞く会
連絡先:011-758-2648(セイブイラクチルドレン札幌)
3月28日(水)18:30~ 静岡
会場:静岡県男女共同参画センターあざれあ
(駿河区馬淵1-17-1/静岡駅北口より徒歩7分)
資料代:500円
主催:静岡県労働組合評議会女性部
後援:静岡県労働組合評議会
連絡先:054-287-1293
3月29日(木)18:30~ 名古屋
場所:名古屋市女性会館 視聴覚室(中区大井町7-25/
名城線・東別院駅1番出口より東へ徒歩3分)
資料代:500円
主催:イラク派兵差止訴訟の会
協力:セイブ・イラクチルドレン・名古屋
3月30日(金)19:00~ 大阪
場所:大阪府保険医協会(M&Dホール)
(浪速区幸町1-2-33/なんば駅より徒歩5分)
資料代:500円
4月2日(月)18:30~(開場18:00)東京
場所:文京区民センター 2階2A(文京区本郷4-15-14/
三田線・大江戸線春日駅A2出口の真上)
参加費:500円
共催:NPO法人PEACE ON/イラクホープネットワーク
/ファルージャ再建プロジェクト
連絡先:03-3823-5508(PEACE ON)
※各会場ともご予約は不要です。直接開場へお越し下さいませ。
取材等については事前にご一報をお願い致します。
◆総合問合せ先◆
イラクホープネットワーク [メール]


Comments
YATCH お世話様です。
ご案内頂いたイベント日程で「3月25日(火)14:00~ 埼玉」は、多分日曜日です。
YATCHの多くの想い、大切なこと、少しでも一緒に関われたらと思います。
Posted by: kero | March 23, 2007 at 09:58 AM
keroさん、
ご指摘ありがとうございます!
多分ではなく、間違いなく日曜ですね。
早速訂正しました。
Posted by: YATCH | March 23, 2007 at 11:21 AM
ヤッチ,元気を出して!
ヤッチと作った歌「イラクの空に向かって」をぼくは歌うたびにヤッチのことを語り,イラクの人々に想いをはせることにしている。核の連鎖反応ではなくて,人々の魂の連鎖反応が地球をいつか覆い尽くすことを祈って。
「あの青い空の向こうに誰がいる,何をしている
あの青い海の向こうに誰がいる,何をしている
きょう1日つっぱって疲れ果てて眠っている
きょう1日泣き通して涙の海に沈んでいる
だからがんばって,みんながんばって
今日から明日へ 命をつなごう!」
Posted by: よしろう | March 23, 2007 at 09:48 PM
考えさせられるエントリーです。
桃ゲリ頭領が遠征だったので21日は自宅におりました。
桃ゲリあらずばデモあらずな自分であります。
何か空虚な感じがしてしまうのです。
Posted by: peaceforearth | March 23, 2007 at 11:58 PM
YATCH、ちょっとお久しぶりです。ブログを読んでいて、思わず頷いてしまいました...。
私も、これは、‘全人類的課題’として、大きく多角的な視点と、たくさんの時間と人間の手で、たゆみなく取り組んで行く問題だと思います-。
また、平和を目的や大義名分にして、利用されるのを避ける為も勿論ですが、平和の実現への不断の活動を続けていく為にも、平和を目的にするのではなく(平和自体を目的としてしまうと、どこか‘~ねばならぬ’式になってしまい、途中で息切れがしてしまったり、重くなり、疲れてしまうように思います。そういった意味でも)、
‘平和を動詞として’‘手段として’使ってゆくのって、いいのではないかな-と、改めて思いました-。‘平和こそが道である’-いい言葉ですね!(また、これって、‘愛こそが道である’-とも言えるなぁ-なんて...)
また、私からも、‘YATCH、元気を出して下さいね!’
大阪のカーシムさんの報告会、行ってみようと思います。では、また-!
Posted by: ストリーム | March 28, 2007 at 04:51 PM
よしろうさん、peaceforearthさん、ストリームさん、コメントありがとうございます。
昼があれば夜もあるし、晴れの日があれば雨の日もあるし、どちらも命にとっては欠かせないものですから、惨めに感じる日があってもいいのではないでしょうか。心の底から沸いてきた元気ならいいのですが、無理に元気をとり繕ってもそれは空疎なものです。ダメなときはダメなときなりの意味があるはずで、ときには恐れずにそこに目を向ける必要があると思うのです。
カーシム報告会、ぜひ来てくださいね!
Posted by: YATCH | March 28, 2007 at 06:32 PM