◆今、文学と芸術に 何がなし得るか~パレスチナ・イラク・日本~
報告と対話:岡真理(京都大学・現代アラブ文学)×相澤恭行(特定非営利活動
法人 PEACE ON代表)
2007年 2月18日(日)
午後1時~5時(予定)
(開場:午後12時45分)
※途中休憩あり。カフェも営業致します。また、中東の物産も販売します。
◆1時より映画を上映します
「レインボー」
(「地球環境映像祭」2006年アース・ヴィジョン大賞受賞作品 2004 パレスチ
ナ 41分)
議論に資するため、18日には最初に映画「レインボー」を上映いたします。是
非ご覧下さい。
(パレスチナ・ガザ地区への緊急支援カンパをお願いします)
会場:すぺーす楽多
世田谷区南烏山6-8-7 楽多ビル2F
京王線千歳烏山下車 03-5313-8151
参加費:1,000円
※2月13日より18日まで、すぺーす楽多では、イラク人画家の作品を展示、販売
いたします。
※すぺーす楽多は、昼間はレストラン「らくだ」、夜はライブ・バー「TUBO」と
して営業しています。
営業時間:午前11時半~午後4時半,午後6時~午後11時半(ライブのある日
は7時開店)
何か一品ご注文下さると幸いです。夜にライブのある日はライブチャージが必
要となりますので、ご了承下さい。(2月16日、17日はライブの予定)
共催:すぺーす楽多・特定非営利活動法人 PEACE ON
協力:今とこれからを考える一滴の会
問い合わせ:03-5313-8151(すぺーす楽多)
困難な状況の続くパレスチナ、そしてイラク。長くパレスチナ問題に関わり、文
学の力について考えてこられた岡真理さんと、イラク戦争開戦前よりイラクに入
り、現在障がい児へのスクールバス支援や文化交流活動に取り組んでいる相澤恭
行さんに、「人々の生が破壊されている現代に、文学と芸術が何をなし得るの
か」という問いについて語り合って頂き、ここで今日本に生きる私達に問いかけ
られているものは何かについて考えていきたいと思います。
岡 真理(おか まり)
京都大学大学院人間・環境学研究科教員、現代アラブ文学。
学生時代にパレスチナ文学に出会い、以来、パレスチナ問題に関わる。現代世界
に生きる人間の普遍的思想課題としてパレスチナ問題を考えている。著書に『棗
椰子の木陰で―第三世界フェミニズムと文学の力』(青土社、2006年)、『彼女
の「正しい」名前とは何か』(青土社、2000年)、『記憶/物語』(岩波書店、
2000年)など。
相澤恭行(あいざわやすゆき)
特定非営利活動法人 PEACE ON 代表・理事。宮城県気仙沼市出身。1971年生ま
れ。
96年まで音楽を中心に活動。その後アイルランド留学等を通じて国際交流に力を
入れる。2003年2月「イラク国際市民調査団」、3~4月米英軍によるイラク攻撃
の最中「HUMAN SHIELDS」(人間の盾)に参加してバグダード陥落まで滞在。
2003年10月再びイラクを訪れNGO「PEACE ON」を設立。バグダード在住の現地ス
タッフとともに、障がい児へのスクールバス支援や文化交流活動を始める。国内
では各地講演会やイラク現代アート展を中心に活動。共著『いま問いなおす「自
己責任論」』(新曜社)
戦争から4年、圧倒的な暴力と死が吹き荒れ市民生活が崩壊したイラクでは、
絶望の闇に覆われて生への希望が根こそぎにされている。報道は死のデータを更
新し、瓦礫の上で慟哭する老人の写真などを掲げて人道危機を訴えるが、即時的
な言葉で消費される情報は紋切り型の悲劇の記号となり揮発していく。そこでは
どのような生の物語が破壊されているのか?知らぬ間に我々の生命も枯れ果て
て、鏡を覗けば一日100人近くも自ら命を絶つというこの日本社会の闇に戦慄す
る。
そんな中、私はイラクで画家たちと出会った。大河のほとり、大地と天空とを
繋ぐ生命の樹棗椰子(なつめやし)の胎内で育まれてきたイラク七千年の歴史の
上に、現代の証言を作品として刻む芸術家たちは、混沌からの光だった。そして
昨年来日したイラク人画家ハニ&シルワン両氏は、彼らのアートの哲学を、現代
アラブ文学研究者の岡真理さんに語った。その対話は、「人々の生が破壊されて
いるこのときに、一体文学に何ができるか」という彼女が抱く根源的な問いに呼
応し、また二人の絵画作品に応答して書かれた彼女の深く静謐なテクストは、今
何ができるのかと悩む私の心に温かく染み入ってきた。
文学、そして芸術の力は、そこに確かに存在した人間ひとりひとりの生の物語
を想像させ、他者への共感を紡ぎ出す。イラク、パレスチナをはじめ、世界の絶
望的な情況に追い込まれた人々と共に生きる希望を見いだすために、まさに今こ
そ切実に求められている力ではないだろうか。
(相澤恭行)
映画紹介 ◆ レインボー Rainbow ◆
(「地球環境映像祭」2006年アース・ヴィジョン大賞受賞作品)
2004 / Palestine / 41min / DV(2004年 パレスチナ 41分)
プロデューサー:ラマタン・スタジオ
監督:アブドゥッサラーム・M.Aシャハダ
占領下で破壊され、奪われ続けるパレスチナの人々の生活と生命。その痛み、悲
しみをレンズに焼きつけるかのように、カメラはまわる。
“私が通り過ぎてきた人々がいる。ある者は、涙を浮かべながら建物の残骸から
立ち上がった。ある者は、自らを苛む不安を解決する道を探していた。そしてま
たある者は、現実に直面し、疲れ果てていた。皆、私にそっくりだった。私はか
つてカメラを愛していた。カメラは痛みを伝え、悲しみを忘れることができると
信じていたのだ。いや、私が信じていたのは、希望やより良い人生といったもの
だったのかもしれない。”
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