アメリカにイラクにおける暴力を止めることを求める緊急嘆願書への署名のお願い
標記件署名のお願いです。イラクホープネットワークのHPを見ていただければわかるのですが、以下少し書いてみます。
イラクでは、見せかけの政治プロセスの裏で、治安は一向に改善しないどころかむしろ悪化の一途であり、その中で多くの市民の命が奪われていることは、イラク問題に関心を寄せる皆様におかれては、様々な情報からある程度は認識されているでしょうし、深く心を痛めていることと思います。
現在激しい掃討作戦が展開されているバグダードのドーラ地区に住むPEACE ON現地スタッフのサラマッドの家族は、モスクの責任者である父親と母親を残して、弟と妹たちは皆郊外の親戚の家に避難しています。サラマッド自身はイラクへの帰国を家族に反対されていて、いまだ妻アマラと共にフランスで待機しています。「家族が心配で夜も眠れない。気が狂いそうだ。今すぐイラクに帰りたい・・・」と嘆く彼の苦しみは計り知れません。
これまで拙ブログでも繰り返し紹介してきたように、このようにとりわけ首都バグダードの状況が最もひどいと言われてきましたが、ここ最近では南部のバスラ、サマーワ、そして中部ラマーディなど、各地での状況も日増しに悪化しています。他にも多くの友人、知人が、イラクから避難しています。
昨年個展のため来日したイラク人画家ハニ・デラ・アリさんから昨夜届いたメールによると、ラマーディ在住の彼の母親と兄弟が、あまりの状況悪化から近郊の町ヒート(ハニさんの故郷でもあります)に逃れ、酷暑のなか水も電気も不十分な避難生活を余儀なくされているそうです。
また、先達ても少し触れましたが、ラマーディで高遠さんの友人のお兄さんが交通事故にあい、病院に運ばれる途中に米軍の検問に阻まれて命を落としてしまいました。
以上は今年4月から始まったラマーディにおける米軍の包囲攻撃による悲劇のほんの一端にすぎません。
他にも、これまで伝えてきたように、各地の治安悪化の要因は確かに様々です。連日報道される爆弾テロから、シーア派民兵によるスンナ派市民の拷問殺害。このように煽られた宗派対立によって、もはやイラクは内戦状態とも伝えられていますが、こうした混乱の元凶はやはり米軍による違法なイラク侵攻から始まる占領統治の失敗ではないでしょうか。
現在もラマーディやバグダードで展開されているように、「武装勢力の掃討作戦」と称した米軍中心の軍事攻撃を激化すればするほど、一般市民の犠牲も増え続け、その反動としての暴力も激化し、治安がさらに悪化していくという悪循環に陥っているのです。
当たり前のことですが、こうした混乱の犠牲はいつも私たちと同じ一般市民です。これ以上の犠牲を一人でも減らすために、私たちに今何が出来るのでしょうか。
PEACE ONも参加しているイラク支援NGOのネットワーク、イラクホープネットワークでは、高遠菜穂子さんの友人の兄の死をきっかけにして、ブッシュ米大統領宛ての「イラクにおける暴力を止めることを求める嘆願書」を、弁護士などの協力を得て準備いたしました。詳しくはHPをご覧になってください。http://www.iraq-hope.net/
申し入れ書を読んでいただければわかりますが、今回はラマーディにおける軍事作戦の中止に焦点を絞っています。もちろんイラク全体の暴力を止めなければならないのですが、身近で具体的な事例を挙げられるところから、ひとつひとつ確実に声を届けていこうという判断です。
そこでぜひ、みなさまにも署名をお願いしたいと思います。署名は英語ですが、HPに日本語での解説も載っています。そして、多くの人にこの署名を広めてください。英語の紹介ページもありますので、 http://www.iraq-hope.net/english.htm 外国人の友人知人にも大いに広めていただければ嬉しいです。
もちろんこの署名だけで暴力が止まるほど世の中甘くないのは、人間の盾でも戦争が止まらなかった現実を現場で体験した自分にとって百も承知であります。それでも、何もしなければやはり何も変わらないし、むしろそれは現状を支持していることと同義だと思います。一人の声、一人の署名でも、多く集まればそこから大きな力が生まれる可能性が生まれます。たとえどんなちっぽけな可能性でも、そこに可能性がある限り、やってみる価値はあると思うのです。ちっぽけな一人一人からかき集めた税金は、やがて戦争という巨大な暴力に使われる可能性もありますし、実際は残念ながらそれが現実となってしまっていますが、その逆の方向に動かす可能性だって、私たちちっぽけな一人一人がもっているわけですから。
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Comments
イラク戦争を止められなかったって、それは仮に一介のNGOでなく、米政権中枢で政策決定に関わっていたとしても、無理ですよ?不可能な責任を抱え込んで如何するんです?
石油の為の戦争だろうが対テロだろうが、止まらないだけの事情が有るんです。ブッシュを選び続けた米国人が全員ウスノロとでも?ま、それを言うと日本人にも帰って来ますが。
野蛮さとか残虐性とかで、新型兵器を作ると使わずに居られない訳じゃない。むしろ軍産石油複合体の真面目で善良なる会社員のせいですよ。車の新型開発と同じで、新作を作らないと、成績が上がらない。
南京大虐殺の旧日本軍人も、帰ればそれなりの市民だったり。ナチスの能吏は虐殺に効率を上げたけど、只の人で。そんな例は史上幾らでも有るでしょう?
ロイヤル・シェークスピアで日本の演出が瞠目されたのは、シェークスピア劇随一の残虐性よりも、暴力のみが自己表現たる主人公の言語性の欠如を際立たせたから。
要は、経済性を非人間性と同義にしてはいけないです。アラブ商人は、そんなの得意じゃないですか?非人間性の付けは経済的に高くつく事を重い知らせないといけないです。
Posted by: 田仁 | July 03, 2006 02:54 PM
田仁さん、コメントありがとうございます。
ご意見が私の本文テキストのどの辺にかかっているのか、いささかわかりかねるところもありますが、私は決して不可能な責任?を抱え込んでいるつもりはありません。
イラク戦争が止められなかったことなど、(これは他の過去の戦争全てに言えるはずですが)すでに起きてしまったことに関して、つまり起きてしまってからそれを止めることは無理だったと言うことは容易いですが、それが起こる前の状態では、全てが可能性の内にあった、つまり、それを止めることが出来る可能性だって、たとえわずかでもあったと思うのです。
別の言い方をすれば、これまで歴史上未然に防ぐことの出来た危機だって多く存在するはずなのに、危機を防ぐことが出来たものに関しては、つまり事が起こらなかったわけですから、歴史にも残りにくい、というわけです。
田仁さんのおっしゃるように、そうした市民が戦争を作り出しているのが現実なのはよくわかります。しかし、だからと言って、止まらないだけの事情を前にして諦観する態度によってもまた、止まらない可能性を増やしてしまうのではないでしょうか。
大切なことは、例え目の前の危機を止めることが出来なくても、どうすれば変えていくことが出来るのだろうと、知恵を絞ってそれぞれが出来る行動を続けていくことだと思うのです。いつか大きな好機が巡ってきても、行動していなければそれが好機と気付くことすら出来ませんし、一つひとつの危機はバラバラに存在しているように見えるだけで、実は過去から続くひとつの大きな連なりであり、一世代ではとても解決できない人類史的な課題だと思っています。
Posted by: YATCH | July 03, 2006 06:59 PM
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