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March 03, 2006

聖廟爆破後 続き

バグダードの友人から届く情報によると、市内各所で戦闘の音が止まず事態はさらに悪化しているようだ。

先日の続き。友人の父親は外出禁止令の中、何とかモスクでの礼拝を済ませてきた。するとモスクに米兵がやってきて、「もしイラク警察が米軍とは別で単独でモスクに入ろうとしたら、たとえ銃を使用してでも彼らを中に入れないように」と警告されたという。どういうことか?

つまり今はイラク警察までもが各地でモスクを爆破したりしているというのだ。2月27日には、ドーラ地区内のその友人の住む地域に、なんと50台ものパトカーがモスクを破壊しようとやってきたので、地域の人々皆で銃を取って追っ払ったらしい。何人か警察側に犠牲者も出たという。

このように、今では警察がもう信じられないどころか、あからさまに攻撃してくる始末であるから、市内どこでもみな自警団のようなものを組織して、24時間体制で地域を守っているという。

夜になれば、スンナ派地域からシーア派地域にめがけて迫撃弾攻撃、そしてシーア派地域からはスンナ派地域への攻撃がやまない。両派が混在している地域では、お互いが疑心暗鬼になり、商売も営めず軒並みシャッターが下りている。友人の弟も怖くて仕事場であるお店まで行くことが出来ないそうだ。こんな状況なので、ほとんどの子どもたちは学校に通うことすら出来ていない。

友人は、スンナ派モスクを破壊している連中の中心は、サドル師の民兵、マハディ軍だと言う。先日、バグダードから東にあるスンナ派地域のサルマンパクでは、シーア派警察が町に侵入しようとしたところ、サルマンパク地区の警察と銃撃戦になった。シーア派警察は犠牲者を出しながらもなんとか逃げ切って、今度はマハディ軍を引連れて再び挑み、サルマンパクの警察を皆殺しにしたそうだ。

2月22日サマッラでの聖廟爆破後、2月27日の時点で、イラク全体で1300人以上が衝突によって死亡したという報道もある。

これまでどんなに煽られても、幾度も内戦の危機を乗り越えてきたイラクの人々。しかし今回ばかりはこれまでとは明らかに違うと、友人も恐れの色を隠せない。

心配していたバドル旅団に誘拐されていた友人のおじさんの消息だが、居場所だけはわかったそうだ。何とか身代金を払わずに解放できないものかと交渉中だという。

ここにいて何もできずじりじりと時間だけが過ぎるこの焦燥感。いまだフランスで足止めをくらっているサラマッドなど、同じく彼の地に家族を残している人々が抱いているものとは比べものにならないだろうけど。

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Comments

イラク、悪夢の市民紛争。
米軍の作戦上、どう頑張っても内乱化に導かれることは予想していたものの、BBCのタイムリーな見出しは何か奇妙な感じがした。
総選挙前の世論調査で、イラク人の7割がこの選挙後のイラクに希望を持っていると、BBCやCNNは「いやはや。何と楽観的な。」というように報道していた。ブッシュやラムズフェルドも呆れたような表情だったと記憶している。私もこの結果は「驚き」だった。そして、次に起こる惨劇を予感して悲しくてならなかった。
イラク国民の希望的観測から、どうやったら各地で爆破と殺戮につながるのだ。市民戦なんてありえない状況だった。しかも、ファルージャやラマッラなどの非情な米軍攻撃は報道をシャットアウトしておきながら、今度はCNNもBBCも毎日毎日新たな爆破事件や謎の武装集団の襲撃事件を速報で伝え始めている。一方、イラクの地元TVの特派員の女性が誘拐され殺害されている。つまり、この一連の内乱は意図的に起こされ、非常に効果的に報道されているのである。
ラムズフェルドの中南米でのテロ活動を振り返れば、イラクの聖廟爆破ぐらいいつ起こってもおかしくなかったが、総選挙後の連立政権と復興の希望を完膚なきまでに打ち砕く内乱の起爆剤として非常に効果的だった。毎日起こる爆破や殺戮や誘拐は「謎の武装集団」によって起こされている、らしい。
アルカイーダの資金源については、その手のもっともらしい解説本を読んでみてもファンタジー臭く、「脚本・演出・提供=CIA」としか思えない。素人の私でもそう思うくらいで、世間にネタバレしたせいか、最近は、謎の武装集団が登場した・・・。しかし、もっともらしくあれこれ演出しているが、今のイラクでの資金や活動の能力を考えた時、闇の仕掛け人はAさんとBさんしかいない。
憤りと何も出来ない無力感。もう徹底的に破壊されるしかないのか。そう絶望した時もあった。
それでもこの憤りをずっと持ち続けるしかない。
朝日新聞3月10日朝刊にイラクから帰還していた自衛隊中隊長の自殺の記事があった。
「米軍に近づくな」「一緒にいると殺される!」
日米共同の軍事訓練で、騒ぎを起こしたこともあったそうだ。そして自殺。
復興支援に行った自衛隊中隊長の自殺。この記事は見過ごせない。

アメリカ。グローバルにどこでも自由に何でも出来る国。
誤射、誤爆、誤認逮捕、拷問、レイプ。
憎悪と災いをもたらす悪の種をまく者。
この60年余、日本はどうにかこうにか太平洋戦争の悪夢を繰り返すことなく平和にやってきた。が、アメリカはずっと戦争や内紛を主導し続けて裁かれてもいない。
アブグレイブを閉鎖すると言うニュースに喜んでも、最後まで読むと、収容者を別の収容所に移送するだけ。
米軍一派の暴力は止まらない。
日米同盟で世界平和が構築できるなどと言うのは政治家の戯言だ。それに気がついているのに何もしない。何も出来ない。
平和を保っているように見えても、この国は、間違った政策によって、社会も人の心も破綻している。
私達は問われている。正義か日米同盟か。取り留めなく書いてしまったけれど、結局の所、まず、九条を守りきれるか否か、だ。そしてより九条を守る国家に修正する。それが日米同盟へ対する決着となる。この世では不思議なことに、タカ派と言われる人はアメリカのパペットかペットでしかなく、反戦支持者や米軍基地に反対する沖縄のオババの方がアメリカと言うとてつもない権力に対峙する強さと勇気を持っている。

Posted by: うだすみこ | March 10, 2006 at 05:00 PM

うだすみこさん、渾身のコメントありがとうございます。今日札幌から帰りました。

イラクの春。戦争という暴力によって耕された大地から蠢動し湧き出でて、ひたひたと忍び寄る恐怖の足音は、啓蟄の喜びの羽音も掻き消して、友人たちに近づいています。

3年前の、いや、それ以前から、そして今も続くこの恐怖の種蒔きに、残念ながら私たちも加わってきたことを考えると、友人たちにかける言葉が見つかりません。

そしてやがて私たちも、夥しく肥大していくこの恐怖と対峙しなければならない時がくるでしょう。蒔いた種は刈り取らねばならないからです。

かの地に命の花を咲かせるためにも、私たちが立つこの地をこれからどう耕していくのか、そしてどのような種を蒔いていくのか、問われているのだと思います。

Posted by: YATCH | March 13, 2006 at 09:36 PM

相澤さん、お久し振りです。
戦争前のテレビのニュースを見て驚きました。
そして、その後のピースオンでのあなたの活動も随分前から知ってました。
あなたに頑張って欲しい願いと同じに生命だけは大事にして下さい。


Posted by: 和貝勝司 | March 26, 2006 at 11:25 PM

和貝さん!

これは驚きました。本当にお久しぶりですというか、あれからもう10年位経ったでしょうか?こんなところで再びお声をかけてもらえるとは・・・。

そうですか、戦争前のニュースで見たわけですから、その時の驚きは今の私の驚きの比ではありませんよね。当時はいろいろとご心配をおかけしてしまったかもしれないのに、その後も見守っていてくれたようで、本当にありがとうございます。

本当に生命を大事にするということがどういうことなのか、どうしても知りたいという思っているうちに、気が付くとこうした活動をしていました。いずれにしても生命あって再びお会いできることを楽しみにしています。

Posted by: YATCH | March 29, 2006 at 11:06 PM

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