ドルマを囲んでイラクの未来を考える
ハニさんの友人のイラク人若手アーティスト、シルワンさんの家を訪ねる。アーティスト仲間で昼食でも、という集まり。なんとイラク現代アート界の巨匠、齢80を越える大老ヌーリ・ラーウィ氏とも2年ぶりに再会できた。来週からここアンマンで個展があるということでシルワンさんの家に滞在しているようだ。ハニさんの奥さん、オム・ムスタファの手料理ドルマを囲んで談笑。それにしてもイラクから避難しているアーティストがこんなに増えているとは。
ハニさん撮影:右から私、ヌーリさん、シルワンさん
シルワンさんは2年ほど前バグダードからここアンマンに移り住んでいる。ハニさん曰くよく名の知れたアーティスト。主にイラクの女性や動物などをモチーフにした抽象的な作風で、古代イラクをテーマにしているハニさんとは違うものの、同じくイラクの文化を現代アートに表現している。構図も色使いもとても洗練されていて、その上古きよき時代のイラクを伝えてくれる逸品ぞろいだ。食後にはモデルに誘われたので早速抽象的な似顔絵を一枚描いてもらった。
ちなみにヌーリ氏はこれまでバグダード市内に4つの博物館を設立してイラクの文化の発展に努めてきたが、今日の状況の中では政府からは全く予算が下りず、また、ユネスコなど国際機関に何度も請願しているのに返事すらないらしく、予算が足りずに維持することが出来ないと嘆いていた。やはりイラクの文化を知らない人が多すぎる。世界がもっとこの人類の文化の宝の存在に気付けば変わっていくはずなのだが・・・本当にもったいない。一人でも多くの人にこのすばらしさを味わってもらい、保存に力を貸してくれるよう、まだまだ精進せねば。
ヌーリさんの作品
夜はハニさんのいとこアブドゥルカーデルさんの家でナツメヤシなどの取引について相談。アブドゥルカーデルさんはイスラム教神秘思想のスーフィズムを教えている大学教授。ちょうどスーフィーに関する本を読んでいるところだったので思わぬところで話が弾んだ。バグダード大学で教えていたそうだが、一年ほど前からここアンマンに移り住んでいる。なんとシーア派政党イラクイスラム革命最高評議会の民兵組織バドル旅団に脅迫を受けたらしい。イラクの医師や学者などの知識人が相次いで誘拐、殺害、または出国などの脅迫を受けているとは以前から聞いていたが、こんな身近なところでも・・・。
破壊されているのはイラクの未来そのものである。
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