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November 12, 2005

イラクからヨルダン、フランス、そして・・・

今度日本に来るイラク人画家ハニさんをはじめ、アンマンにいる友人達は皆無事であった。「大丈夫。あんな高級ホテルに泊まるわけないじゃないか」と。ただ、ヨルダン人の友人の一人からの連絡によると、爆破されたホテルの近くに住んでいるというその友人の親友の一人が、母親と車に乗ってホテル前の道路を通り過ぎようとして、爆発に巻き込まれて殺されてしまったという。

「奴は俺の偉大な友達を殺した。他にも罪のない人間を・・・。これは決してムスリム(イスラーム教徒)の仕業ではない。預言者ムハンマドの時代の戦争にもルールはあった。真のムスリムならば、老人、女性、子ども、罪のない人、丸腰の人などを殺してはならない、そして敵を欺いて殺してはならない、面と向かって戦わなければならない、そして争うことなく世界に宗教のメッセージを伝え、もし両者が争いを止めることが出来るのなら、敵に紳士的に接し、平和的な交渉をはじめるべきである、と。そして、武器を持って面と向かってくる敵とだけ戦うのだ、と預言者ムハンマドは言ったのだ。しかし、今回ザルカウィはその全てを破った。奴は今俺の敵であり、そして全てのムスリムの敵になった。連中はムスリムの仮面をかぶっているが、決してムスリムではない・・・」と、彼はその憤りを長いメールにしたためてきた。

彼は事件の直後に現場に駆けつけ、昨日は一日必死で救助活動に費やした。心の中は、怒りと悲しみでいっぱいで、はちきれんばかりだったという。

そして、これまでいろいろと問題を起こしていたこともあり、会うたびに「これ以上ここにいたら俺にはもう未来はない」とヨルダンを出ることばかり考えていた彼が、

「俺はここヨルダンと共に立つことに決めた。ヨルダンは俺の家族の国であり、俺の全ての国、感謝すべき祖国。ここはまだ俺の国で、この国を愛している。こんな俺を育み、抱きしめてくれた場所なんだから」と、溢れる愛国心を惜しげもなく綴っていた。

親友を亡くした彼の渾身のメッセージを受け止めて、改めてこの事件の意味を問い直す。単に自分がよく行くところ、治安がいいと言われていたところ、友人が多く住むところでの事件ということではなく、そこで生まれ育った人間が、同じ国で生まれ育った人間によって(ザルカウィだとすればだが)、やはりそこで生まれ育った友人が、何の理由もなく殺されていく。その悲しみと怒りを、私はどれだけ自分のこととして受け止めることができるのか。

正直この事件について、私は様々な疑念を持っている。お決まりのようにザルカウィからの犯行声明が出て、自爆犯はイラク人だというが、あまりにも出来すぎたこの流れを、はいそうですかと信じる気にはとてもなれない。こうしてまたいわゆる対テロ戦争が正当化され、セキュリティが強化され生きづらい社会になり、イラク人の印象がまた悪くなり、ヨルダンでのイラク人に対する扱いがひどくなるのだろうか。そして友人の愛国心いっぱいのメッセージを読んだとき、あの9・11直後のアメリカの市民の反応と重なり、何ともいえない気持ちになってしまった。ああ、こうして負の感情の連鎖から、また新しい犠牲が生まれてしまうのか、そしてそれで誰が得をするのか、やはりまたこの筋書きですか、と。

それでも、あの9・11のときは今回のように自分の友人の親友が殺されるということはなかった(イラクでは友人の知人や友人が殺されたという話はよくあるが)。もちろん、自分の直接の友人が殺されたわけではないといえ、こうして普段親交のある友人の親友が亡くなり、その心からの叫びを受け止めてしまうと、どうしても事件を俯瞰して語ることが出来なくなってしまう。

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そしてアンマンでの事件に沈思している間もなく、イラクでもバグダードでレストランが爆発。今度日本に来るイラク現地スタッフの二人は、一度安全なはずのフランスに寄っていたのだが、到着早々に出くわした暴動でイラク同様「非常事態宣言」下で暮らしている。

「全く、これじゃイラクと変わらんよ。安全も民主主義も、どこにもありゃしない。世界が崩れ落ちていくようだ。バグダードの親父と電話で話していて気付いたよ。ああ、俺の行くところが戦争になるってことは、俺の存在自体が争いを呼んでるのかもねって。日本も気をつけたほうがいいかもよ」

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