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October 03, 2005

ダマスカスからまとめてUP

今ダマスカスにいます。早くも明日の飛行機で帰国の途につきます。またしても日記まとめてUP。


28日、薬剤師ハイサムさんのところに顔を出し、近所のイエメン料理のレストランで昼食を共にする。彼にはイラク支援を始めたときからお世話になっていて、アンマンに行くたびに必ず訪れてイラクの情勢など話し合ってきた。そういえば今のイラクは彼が2年前に予想したとおりの展開になってしまっている。

夜はイラク人が経営する食堂で高遠さん、細井さん、そしてJVCアンマン在住の原さんとスタッフ高瀬を交えケバブを食べる。やはりここのケバブはうまい。高遠さんと細井さんは今夜の便で帰国の途に着くということで、水支援報告の件など最終ミーティング。向かいに座っていたのはナッシリアから来たというイラク人。ちなみにこの食堂は従業員も客もほとんどがイラク人だ。食後のチャイは濃厚で砂糖たっぷり。これこそあのイラクで飲んだチャイの味。艶かしくくびれたグラスがまた最高だ。アンマンでいつもがっかりするのはティーバッグのチャイが出ること。やはりチャイはこうでなくては。

ミーティング終了後ちょっと時間があったので、クリフホテルの人気者サーメルに会いに行く。彼は特に日本人に慕われている。このホテルの利用客の9割がた日本人だというのもひとえに彼の人徳、日本人以上に日本人らしい彼の人柄のおかげだろう。私など一度もこのホテルに泊まったことがないというのに、行くたびにジュースなどご馳走してくれる。オーナーにいつもいじめられていて、もうずいぶん前からここを出てファラホテルに移る移ると言っていたが、オーナーが許してくれないと言って一向に移れる様子はない。もう10年も住み込みで働いていて、ザルカの実家に帰っても数時間だけで丸一日の休みをもらうことはないという。ヨルダンの実情は知らないがこれでは労働基準法もなにもあったものではない。このままかれはこの安宿に骨をうずめてしまうのだろうか。いっそのこと独立してホテルサーメルでも開業すれば、日本人客はみなそちらに行くだろうから十分やっていけるんじゃないかと言うと、ただにこにこにこにこと笑っていた。

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サーメルは昨年イラクで殺害された香田証生さんのことについていろいろ話してくれた。香田さんはここでサーメルにイラクに行きたいと告げた。とても悲しい様子で、冗談を言っても全く笑ってくれなかったそうだ。また、香田さんは戦争被害に苦しむイラクの子ども達の写真をサーメルに渡し、これを見せてイラクの現状を伝えてほしいとも言っていたという。サーメルはきっと彼は思いとどまるだろうと思いながらもイラク行きのバスを案内した結果、あの最悪の結末を迎えてしまったことを今も心に病んでいる。以前はここからも多くのバックパッカーがサーメルの案内でイラクに行ったものだが、あの事件から彼は必死になってイラク行きを希望する若者を止めている。「イラクでなにが起きているのか自分の目で見てみたい」という香田さんの気持ちは、わかりすぎるくらいよくわかるし、その気持ち自体は最大限尊重している。しかしあの時の入国はやはりあまりにも時期が悪すぎた。まさか一年足らずでここまで状況がひどくなるとは、やはりサーメルも彼の死までは気がつかなかったのかもしれない。このイラクの現状を引き起こした者の大罪、そしてそこに関わる全ての人間の罪を一身に背負い亡くなった香田さんは、彼のその死をもって、イラクの現状を我々に伝えてくれたのかもしれない。

9割が日本人客だというクリフホテルから、9割がイラク人客のガーデンズホテルに戻る。我々以外は全てイラク人客だそうだ。昨日からこのホテルに泊まっているサマーワ出身の友人Sの部屋で深夜アラブお菓子バクラワをほお張りながらサマーワのことについてなどいろいろと聞く。現地スタッフが帰ってからも連日イラク漬けの日々は続く。


29日、日本大使館に行ってイラク人のビザ申請へ。その足でハイサムさんにお別れの挨拶にいくと髙瀬はパレスチナ刺繍のドレス、私はアラブの白い民族服ディシターシャをもらった。にわかアラブ人を気取ってハニさん宅を訪れ最終打合せ。


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30日、夕方アンマンを発つ予定だったので、午前中に荷物をまとめてホテルをチェックアウトした。午後1時、ヨルダン人の友人Mからの電話が来ない。連れのオマル君宅で昼食をご馳走になる約束だったので、何も食べずに待っていた。2時頃やっと連絡が取れたと思おうと、急用が入ったようであと2時間は待ってほしいと言う。さて4時になっても連絡は来ない。空腹のまま高瀬のメル友?のイラク人マジッドさんと出会う時間を迎える。

8月にも来日したマジッドさんは、「燃えるイラク」という何とも猛々しい名前の組織の議長であり、新しく立ち上げたというイスラミック・ナショナル・フロントという政治部門のスポークスマン。カイロでの打合せを終え、アンマンに着いたばかりだというマジッドさんは、目をぎらぎらさせて熱くイラクについて語った。彼の気迫に空腹も忘れ、PEACE ONの活動などを紹介し、今後どのように連携できるかなど話し合った。今イラク政府に登録しているNGOは6000団体(3000とも聞く)もあるらしいが、そのほとんどがNGOの名を借り政府と癒着し荒稼ぎしてイラクをダメにするとんでもない連中ばかりだと憤り、今の政府と繋がっている組織についてはことごとく信用していない。特に今の政府については完全にイランに乗っ取られてしまい最悪だ、前のアラウィ政権のほうがはるかにましだったともいう。私も、以前のファッルージャ避難民支援の際にはじめ責任者から日本からの支援は要らないと断られたが、これは政府からではなく市民からの寄付により送られたものだと現地スタッフが説明したら受け取ってくれた経験などを話すと、ファッルージャ出身の彼は大変関心を持って聞いてくれた。

気がつくともう夜7時。6時にはダマスカスに向けて出発したかったのだが、まだ友人からの電話が来ない。本人が携帯を持っていないので兄弟や友人など片端から電話をするがどうにも連絡が取れない。思い出したら急激に腹が減ってきた。そういえば日没まで何も食っていないわけだから、結果的に一足早くラマダン(イスラームの断食月)を実践してしまったわけだ。今年のラマダンは10月4日頃からと聞いていたから、今回も残念ながらラマダンは体験できない。書類の受け渡し等がありJVCの原さんと会い、そのまま近所のイラク食堂に行って断食を解いた。結局友人からの電話は来ない。インシャッラー、神がお望みではなかったいうことだろう。夜も更け、これから移動するのもしんどいので、諦めてもう一泊することにする。

1日、ダマスカスへと発つ前に、ハニさん宅にお別れの挨拶に出かける。朝食をご馳走になり、子ども等と遊んでいるうちにどんどん時間が過ぎていく。どんなにタイトなスケジュールでも、一度腰を下ろしてしまえばゆったりとしたアラブ時間に心地よく身を浸してしまう。原さんおすすめの旅行会社がかなり近いことがわかったので、ハニさんと一緒に行って航空券の予約を済ます。気がつくともうお昼だ。ハニさん一家と別れを交わし、合流した原さんと共にアブダリバスターミナルに行ってダマスカス行きの乗り合いタクシーを予約する。30分以上待って、あと残り2名の乗客が現れいよいよアンマンを後にする。原さんもダマスカスに行きたそうだった。

今回、アンマンでの活動はなんとかほぼ予定通りこなせたものの、他の共同プロジェクトのメンバーなどと滞在期間が重なり打合せの機会が多く、余裕があれば一日くらい観光でもという淡い期待はアンマンの乾いた秋の空に消えていった。また、アンマンに来たイラク人から聞く話はどれも想像以上に重いものばかりで、このアンマンの稠密な日光ですら心に沈殿していく苦悩の滓を溶かすことは出来そうにもない。それでも、彼等と共にした時間、確かに感じるあのあたたかくてありがたい気持ち、イラクでもよくちびっ子たちが「僕の家で食事に招待するんだ!」などと、時にはけんかにすらなりながらも、私達をもてなそうとするあの気持ちは、戦前初めてイラクを訪れたときから、こんな状況に陥りながらも、今も確かに変わらずここにある。例え僅か一滴だとしても、この希望の光を伝え続けていきたい。


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夕方、ダマスカスに到着。イラク人の友人Sに紹介されたホテルに着くと、到着が遅れた我々をSが心配して待っていた。食事の後夜の市内をしばし彷徨。ここは属国ヨルダンと違い、米資本の看板などに興ざめすることがないのでいい。路地では星と三日月の形をしたラマダン用の飾り物を売る店が賑わっていた。アザーン(お祈り)が流れている間は律儀に販売を停止していた酒屋で、お祈り終了と同時にシリア産ビールを買い、近所のカフェで水タバコを吹かす。スークハミディーエまで足を伸ばし、片言の怪しい日本語の客引きなどをやり過ごしながら、明日の仕入れを前に商品を物色しているともう店仕舞いの時間。シリアの夜は更けていく。旅も終わりに近い。

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Comments

ミケです。明日は帰国されるのですね。お疲れ様でした。
現地スタッフがなんとか無事に帰れて、ホントによかった。本当に現地の状況は危険で厳しいのですね。
今回、アンマンまで行かれたからこそ、感じられたいろいろなことがあると思います。報告会も行われると思いますが、なかなか東京までは行かれないです。でも、YATCHや香緒里さんの話を直接、聞きたいですね。

とにかく、今は、YATCHのブログで見聞したことを、自分も少しでも感じてみようと思います。

元気に帰ってきてください。それではまた。

Posted by: ミケ | October 03, 2005 at 10:30 PM

ミケさん、いつもコメントありがとうございます。おかげさまで私どもは昨夜無事帰国しました。でもイラクのみんなはますます大変な状況に陥っています。今回ほど問題の大きさと出来ることとのギャップを感じ苛まれる旅はありませんでした。それでもお互い生きてここにあることを頼りになんとかやっていこうと思います。

Posted by: YATCH | October 05, 2005 at 11:48 PM

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