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July 31, 2005

広島に行ってきます

LAN TO IRAQ in Hiroshimaのため広島に行ってきます。イラク現代アート展示は8月1日~7日、アートトークは8月1日です。昨年8月6日、バグダッドのヘワーアートギャラリーでのライブペインティング作品、10人のイラク人アーティストによるヒロシマへのメッセージも展示されます。

あと、8月5日はカープのホームグランド・広島市民球場裏の「県立総合体育館」の「小アリーナ」にて、イラク写真展のブースを出せることになりました。

ヒロシマ暦60年。じっくりと心に焼き付けてこようと思います。

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July 28, 2005

司法の死

昨日(26日)は甲府で講演。台風で朝から雨が降りしきる中、まずは甲府地方裁判所に行き、講演の主催者、「派兵は決定的違憲」市民訴訟の会・山梨が原告となっている第4回口頭弁論を傍聴した。今回は前回申請した証人の千葉大の小林正弥さんやJVC代表の熊岡路矢さんが採用されるかどうか、つまり実質審理に入れるかどうかという重要な日だったそうだが、結果は全員却下。その上裁判官は腰を上げながら小さな声で「結審します」と呟き、そそくさと逃げるようにして退廷。続けて怒号飛び交い騒然となる法廷を、被告人である国の代理人は、にやにやとうすら笑いすら浮かべながら退廷していった。

自衛隊のイラク派兵差し止めに向けた違憲訴訟は、北海道の箕輪登氏(元郵政省)の訴えを皮切りに、今では全国12箇所で市民訴訟運動が展開されている。こうした違憲裁判は勝つ見込みがほとんどないらしいが、結果がどのようになろうとも、こうした運動が全国に広がることで国内外に自衛隊の違憲性をアピールするいい機会だと思っていた。やはりどこも実質審理には厳しい状態だが、山梨はわりといい流れだったらしいので、原告の皆さんの衝撃もなおのこと大きかったようだ。

証人を全員却下して結審とは、すなわちもうこれ以上話し合う必要は全くありませんということ。とにかく驚いたのは、判断に至った理由の説明が何ひとつなかったことだ。これには弁護士の皆さんも前代未聞のことだと言う。

イラクの戦場は体験していても、恥ずかしい話、裁判を傍聴したのは生まれて初めてだったが、実に貴重な瞬間に立ち会ってしまった。やはり何事も現場が大切だと改めて思う。

「司法の死」

これが初めての法廷の現場の感想である。

これまでイラクの現場で多くの死を見てきた。振り返れば、あの国際法違反の先制攻撃であったイラク戦争が始まるときも、何かが死んでいくのを感じた。そしてバグダッドが陥落し、遺体収容を手伝ったときも、結局世界は圧倒的な暴力に支配されているという絶望感と共に、何かが自分の中でがらがらと音を立てて崩れていく死を感じた。世界はなんと多くの「死」に囲まれていることだろう。

ちなみにお金がお金でいられるのは、みんながお金を信じているからだ。一万円札なんて原価価値など数十円に過ぎないただの紙切れにすぎないのに、みんなが一万円札は一万円分の価値があると信じているから通用している。法だって同じだと思う。ただの言葉でも、みんなが法と信じているから法なのだろう。

法を司る人間が法を殺す。私が目撃した裁判官の説明放棄の逃避行が、法の自殺だったとすれば、この先やってくる未来はどのようなものだろうか。その日は、ある日突然やってくるかもしれない。誰もが、死の間際まで自分は死なないと思っているのと同じように。

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July 16, 2005

遠くから

昨日は実に国際的な一日。

まずはアンマン経由の国際郵便でバグダッドから、現地スタッフにかねてから頼んでいた書類が届き、フランスからはバグダッド支部長の妻アマラから彼女の漫画第2巻と、バグダッドで制作したというPEACE ON現地活動の記録写真集CD(スライドショー)が届く。

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アマラの漫画は彼女がイラク戦争中「人間の盾」として活動していたときの物語を基に構成されているもので、昨年第1巻が出版され、5月のファルージャ支援の際に受け取っていた。今回の第2巻で終巻なのだが、残念ながらフランス語が読めないので近々友達に訳してもらわねば。読めないながらも絵を追ってみたが、戦火の中の恋愛談にはどうも触れていないようだ。最後のページで、二人の結婚についてはちょっとだけ載っていたが。

夜、最近イラク方面に旅立ったばかりのフリージャーナリスト安田純平君から電話。しばらくアンマンに滞在しているイラク人画家、ハニ・デラ・アリさんの家からだ。ハニさんがデザインした缶バッジが出来上がったので、安田君に届けてもらおうとお願いしていた。昨年イラクで彼が拘束される直前に一緒にハニさん宅を訪れて以来だから、彼にとっても久しぶりの再会だろう。拘束中イラクのTVに彼の写真が写っているのを見て、ハニさんの子どもらが「ジュンペ!ジュンペ!」とさぞ心配していたと聞いていたので、今回アンマンで出会えてなんか自分のことのように嬉しくなった。

ハニさんとはしばらく今後の展覧会の計画などについて電話で話したのだが、英語の上達ぶりには驚いた。さすがに昨年から半年ほど古美術修復の技術を学びにポーランドに留学してきた成果だろうか。バグダッドの治安悪化から家族を連れて出国、今はアンマンのギャラリーで絵を売って生活している。一度電話が切れてかけなおすと「Mr.YATCH!バグダッドからか?」などと大笑するほど元気なので一安心。子どもたちとも久しぶりに電話で話したが、相変わらず元気いっぱいで安心した。9月からは子どもたちの学校が始まるので一度バグダッドに帰るそうだが、やはり心配なようだ。バグダッドの自宅で再びあのとびきりうまいイラクの家庭料理を安心してみなで囲める日が一日も早く来ることを願う。

聞くと他にもバグダッドの友人がアンマンに一時避難している。やはり治安状況は厳しいままというか、むしろ悪化しているようだし、配給が減っているなど生活環境もよろしくない。現地からのメールによると、まず水が出ない。ひどいときには一週間も断水。以前水では特に問題のなかったドーラ地区でそうなのだから、他はもっとひどいのではないか。夏なので伝染病などが心配だ。そして電気は相変わらずだめで、2時間通電の4時間停電、時には停電がそれ以上。ガソリン不足も一層深刻化してスタンドは長蛇の列。灯油は通常200リッターで4000ID(イラクディナール)、約3ドル弱のところなんと50,000ID(約34ドル)まで跳ね上がっているという。ちなみに通常4000IDというのは冬の価格で夏は普通1500ID(約1ドル)だというから、事実上34倍近い値上がりである。「冬はどんだけになるか想像できるか!」と結んであった。

治安悪化に留まらず、こんな状況が続いていて、それでもそこに生きて生活を続けなければならない友人もいるのだ。友人のイラク人アーティストの一人アハメッド・アルサーフィーは今フランスにいるが、バグダッドのカラダ地区の爆発事件で友人二人を失ったらしい。他の友人からも最近いとこが殺されたと聞いた。そんなことに思いをめぐらせていると、グルジアに行ったフリージャーナリストの友人から電話。途中で切れたので詳細はわからないが、なんと追い出されることになったそうだ。想像以上の包囲網に驚いたが、生きていてなにより。お互い遠く離れていても、こうして様々な手段でつながりを確認できること、それもお互いが生きているからこそである。バグダッドから届いた書類を見つめ、改めてその有難さを想った。

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July 10, 2005

7・7London 引き裂かれた七夕

ロンドンでの同時多発爆破事件の死者は50人を超え、さらに増える見込みだという。突如として襲いかかる暴力に命を奪われた人々、そして残された家族や恋人、友人たちの悲しみは如何ばかりであろうか。イラクの戦場で目の当たりにした、あの記憶に深く刻み込まれたひとりひとりの嗚咽と慟哭が、再び意識下を這いずり回っている。死のデータとしての数字の背後に広がっていく、破壊された物語を背負い明日を生きねばならぬ人々の、ひとりひとりの苦悩の表情がよみがえる。死者は数字ではない。イラクだろうが、イギリスだろうが、このように簡単に人間が殺されていくのを見るのは、本当にやり切れない。

しかしながら、この報道の格差はどうだろう。イラクではこの規模の事件は連日のように起こっているが、今では新聞の一面を飾ることは皆無に近い。いやイラクなら実はまだましなほうなのだ。ベタ記事程度で流されていくものや、記事にすらならない無数の死があり、この地上はそうした死者と、残された人々の幾億もの悲しみに包まれている。今回の事件を知ったとき、こうしたあからさまな報道の圧倒的非対称に、正直嫌気がさしもした。

「イラクでは毎日のように起こっていることなんですよ。そもそもこんな事件が起きてしまうような原因を作ったのは、いったい誰なんですか」と突き放したい気分にもなってしまったが、今イギリスに留学している友人がいるので、やはり心配になって安否を確認するメールを出した。そこで何が起こっているかを想像する鍵として、そこに顔の見える友人がいるかどうか、これはやはり大きいと思う。

その友人は無事だった。しかしまだ安否の確認が出来ていない友人もいるので心配だという。

以下、この事件を受けて改めて考え、その友人宛にメールで吐露したことを一部編集の上紹介します。


「9・11の時も感じたことですが、
こういう事件が起きると、いつも僕の内面はある種の奇妙な葛藤が起こり、
引き裂かれてしまいます。

当然、ひどいことだと思う反面、
幾多の犠牲を飲み込んで膨張してきたこの文明が崩れていくのを、
「ほら見たことか」と半ば喝采を挙げてしまっているような自分もいるのです。

チョムスキーの言葉、
「誰だってテロをやめさせたいと思っている。簡単なことです。参加するのをやめればいい」
を引っ張りだすまでもなく、やったことは全て跳ね返ってくるわけで、
イギリスはこの事件の何万倍もの仕打ちをしてきたわけだから、
こんな事件が起こるのは至極当然だとも思ってしまうわけです。

しかしよくよく考えると、そういう感情の背後には、
攻撃される主体を単に「アメリカ」や「イギリス」など、
漠とした記号ないし抽象概念で捉えている事がわかります。

これは9・11の直後、熱くなったアメリカのいわゆる愛国者たちが、
「テロリストであるアラブ人を全て殲滅せよ」と気炎を上げ、
戦争を良しとする論理とあまり変わりないのかもしれません。

この論理に共通していることは、そこに具体的な人間の顔がないこと、
つながりを持った人間が生きていないということだと思います。

恐ろしいことですが、こうした考えが、
自分の中にも存在しているということを認め、
何とかそこから乗り越えることは出来ないだろうかと、
僕もイラクに行って直接人間同士のつながりをつくり、
簡単に言えば彼らと友達になってしまい、
友達が殺されるかもしれないということがどういうことなのか、
自分の問題として考え、その恐ろしさと、戦争の愚かさを、
みなに知ってほしいと思ったものでした。

それでもまだ葛藤して引き裂かれているのも事実ですが、
やはり今回はSさんがイギリスにいるということで、
単純な感情に飲み込まれずにすんでいるのかもしれません。

世界中の人が、世界中に友達を持つようになればいいのに、と思います。

ところでこれを機に、テロ対策ということで、
世界規模でまた一気に警備が厳しくなり、
結果的には皮肉にも新たないわゆる「テロ」を生む土壌が
醸成されてしまうことを心配しています。

無数の「テロ」によって無辜の民の生血を啜り肥大してきたこの文明という怪物は、
その体内にやはり「テロ」によって自らを食い尽くす胚子を孕んでいたのでしょう。

そしてその萌芽にせっせと水をまいてしまっているのは、
「テロ」の脅威に怯えて、「テロに屈しない」という政府にすがろうとする、
私たちの心の弱さなのかもしれませんね。」

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July 09, 2005

「アート未来展」はじまりました

国際公募作品からなる「アート未来展」が、上野東京都美術館ではじまりました。

PEACE ONが主宰するLAN TO IRAQ(イラク人作家による現代アート)コレクションからも、平面、立体あわせ4作品が招待されています。他にバングラディッシュからの作品など、煌びやかな個性と才能が散りばめられた珠玉の作品群、ぜひご覧ください。

IMGP4618左手前はイラク人女性作家、マヤサ・アル・ムクダディ Mayasa AL mukhdadiによるブロンズ、「人間の頭」Head of Man


IMGP4606おなじみハニ・デラ・アリHani Dela Aliの「混沌からの光」Light from Chaos


IMGP4602ハニさんの師匠、ムハンマド・ムハラッディーンMohammad Muhraddinの版画もあります

会期:7月8日(金)~17日(日) 9:00~17:00(入場16:30) 最終日13:00まで
会場:東京都美術館 第1彫塑室B
入場料:一般500円 学生300円
主催:アート未来

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July 07, 2005

イベントレポートまとめてUPしました

PEACE ONのホームページにイベントレポートをまとめてUPしました。

特に4月から5月にかけて、各地の会員さんが様々なイベントを企画してくださったのも関わらず、6月いっぱいまで決算やら総会準備等やらに忙殺されてレポートのUPがずるずると遅れておりました。

いまさらブログにUPするのもなんですので、寄付金報告とともにPEACE ONのホームページのイベントレポートに4月後半から7月分まで一気にUPしました。大変遅れて申し訳ないのですが、ご覧になっていただけると嬉しいです。(一部はほとんど旅行記と化していますが・・・)

2005年4月
2005年5月
2005年6月
2005年7月

そういえば今夜は七夕ですね。地上の喧騒から遠く離れ、天球いっぱいに天の川が見渡せるような、星たちがいっぺんに降ってきそうな、見渡す限り人気のないだだっ広い大地にひとり仰向けに張り付いて、この燃えたぎる地上の業の血液を、星辰の隙間を縫って走る氷点下の流れに浸し、逢瀬を言祝ぐ唄でも聴きにいきたいものです。

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