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June 25, 2005

身体

久しぶりに夜の街を走ってきた。ただでさえ蒸し暑くべとつく夜なので、せっかくだからこの暑さを利用して汗をかこうと思い立ったのだが、やはり身体を動かして汗をかくのは実に爽快だ。サウナもいいが、こうして走ってみると皮膚の裏側にこびりついていたり五臓六腑に沈殿していたりしている何やら澱のような悪い「気」までが汗とともに毛穴から放出されるようだ。

ここしばらく講演以外は決算やら事業報告書の作成に追われてパソコンの前に張り付きっぱなしの毎日だったので、相当な電磁波を浴び続けているせいもあるのだろう。また、イラク情勢は悪くなる一方で現地との連絡もなかなかうまくいかず、やっとこさメールがきてもどうにもこうにも凹んでしまう内容が多かったのもあり、正直パソコンを開くのもちょっと憂鬱になっていた。

最近ネット上で見た記事で、「一日5時間以上のパソコン使用で鬱や不眠が増加」とあったが、ここ最近は5時間なんて軽く超えていた。昔はパソコンのパの字も知らないアナログ人間だったのだが、今ではパソコンがなければほとんど仕事にならないし、かなり依存しているのは間違いない。ある種の鬱だったのかもしれないと思う。

これは昨年の8月以降、イラクに入れていないというのも大きいかもしれない。振り返ればこれまでイラクに行くたんびに、「生きる」ことを全身で表現するイラク人と触れ合って元気になって帰ってきていたような気がする。イラク支援とは言いつつも、実際のところはかなり彼らに助けてもらっていたなあ。

思えば開戦前初めてイラクに行こうと思ったきっかけのひとつに、身体性を取り戻そうというのがあった。この爆発的に肥大していく情報化社会の中で、実は逆にわれわれの身体を通じた情報や知識は枯渇していっているのではないか。五感を通して世界を掴み取ることから遠く離れ、虚空に浮遊する記号と戯れるだけで語られる「戦争」に強烈な違和感を覚えていた。まずはそこに行ってみて、自らの身体を通じてこの世界を再認識してみたかったわけである。

話は戻るが、以前は週に一度は走っていたのに、イラクに行くようになってからとんと走っていなかった。これまで失った世界を取り戻すためにも、また走ろうと思う。


*サマワで自衛隊の車列が始めて路上爆弾によって攻撃されたという報道があったが、その後治安当局が現場付近を一斉捜索して不審者計50人以上を拘束、しかしその中に容疑者が含まれているかどうかは不明という記事があった。おそらく当局は迅速な対応をしているという自衛隊や日本政府に対するアピールだと思うが、こうした対応が無実の拘束者の不満を高めていく結果、治安が悪化していくのではないだろうか。やはり外国軍がいることによって保たれる治安よりも、外国軍がいることによって悪化する治安のほうが深刻であろう。

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June 12, 2005

「中東にて」菊池絵美さんのブログ

エジプトはカイロの大学でヘブライ語を専攻する、菊池絵美さんのブログを紹介します。

その名も、
「中東にて」菊池絵美 in the Middle East by Emi Kikuchi

まさに体当たりで中東各地を旅し、そこに生きる人々を見つめ、宗教への真摯な問いかけから、中東の宗教、歴史、文化の深奥部へ、そして人間の中へ至ろうとする、巨大な試みです。

「人間の中へ―中東」(2004年 文芸社)の著者でもある菊池絵美さんとは、先達ての2~3月ヨルダン滞在中にメールで紹介され、帰国後もメールを通じ情報交換をしていたのですが、この度ありがたいことにカイロからPEACE ONの会員になっていただきました。まだ途中だそうですが、この度ブログを開設されたのでこの場を借りてご紹介します。

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June 10, 2005

イラクは今

「稲妻作戦」と呼ばれるイラク軍と米軍による掃討作戦が続くバグダッド。友人からのメールによると、イラク軍は家宅捜査と称して問答無用で住居に押し入り、手当たり次第なんでも物色していくので、大切なものはみんな隠さないといけないそうだ。また、顎鬚を長く伸ばしていると、米軍にムジャヒディン(イスラム戦士)と見なされ拘束されてしまうというので、短くしている人が増えているらしい。しかし短くしていると今度は逆にムジャヒディンに不信心者とみなされ、処罰の対象になってしまうというから、全くたまったものではない。外出もままならず、地域によってはモスクに礼拝にすら行けないほどだという。また、イラク軍並びに警察は、イラクにいる外国人なら誰でも身柄を拘束し尋問する権利を与えられているそうだ。

そんな中、移行政府によるパレスチナ人に対する扱いは一層ひどくなっていて、拘束から拷問まで、彼ら曰くもはや「犬以下」だそうだ。サダム政権崩壊直後から、これまでの支援が断ち切られたイラク国内のパレスチナ人の境遇は悪化していたのだが、今度はさらに彼らをイラクから追い出そうとしているとも聞く。これまでPEACE ONが支援してきたパレスチナ難民キャンプのあるハイファクラブも、今年はじめにデマ情報による米軍のがさ入れを受け破壊され、責任者のQ氏は家族もろともドイツに避難したままである(過去記事参照)。祖国を追われた流浪の民が、またしても追い立てられていく。この艱難の旅路は、一体どこまで続くのだろう。

先月斎藤さんが襲撃を受けたヒート出身の画家、ハニ・デラ・アリさんは、これまでバグダッドで家族と住んでいたが、この度ヨルダンに移住した。治安が悪すぎて、とても暮らしていけないからだそうだ。昨年の8月までは何度もあの暖かい家庭におじゃまして、うまい家庭料理をたらふくご馳走になりながら、芸術談義に花を咲かせたものである。しばらくはあそこでハニさんと会うことが出来ないと思うと、何ともやりきれない。そういえば今度はヒートに連れて行ってもらう約束もしていたのだが、この分ではいつになることやら。

一度失ってしまった平和を取り戻すことは、これほどまでに困難なことだったとは。こうしてイラクの現状を伝えるのは、正直言ってしんどくて、ブログの更新が遅れ気味になってしまっている。しかし私なんかよりも、故郷イラクから出国せざるをえなくなってしまった友人たちの想いは、如何ばかりだろうか。そして日々命が崖っぷちに追い込まれているイラクの友人たちの想いはどうだろう。そんな友人たちが、無事に生き延びてくれていることは、大いなる希望のひとつではないか。そういえば彼らもイラク・ブーメラン意見広告プロジェクトの成功には大喜びしてくれていた。とにかく彼らの声を伝え、繋げていこう。そのためにも、この生かされてここにある命に感謝して、しっかりと毎日を生きていかなければ。

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