アートレジスタンス
1月31日、小淵沢フィリア美術館でのLAN TO IRAQアートトークイベントには、告知期間が極端に少なかったというのにかかわらず50名ほどのお客さんが来てくださった。画家でアートレジスタンス実行委員会の松井さん、フィリア美術館の中山さんの尽力のおかげだ。また、松本から来てくださった川田龍平さんも宣伝してくださったようで実にありがたい。窓越しに時折吹雪く山々を背景に、画家の増山麗奈さんと昨年2月バグダッドでのイラクアートとの出会い、そして彼らが表現し続ける混沌からの光、生命のアートレジスタンスについて語った。(麗奈さんの新ブログより)
そういえば1月23日は府中市美術館でもアートトーク。館長の本江邦夫氏も加わり、美術専門家としてのコメントが奥行きを増す。(増山さんが出展している府中ビエンナーレはまだ続いているのでぜひどうぞ)それにしても昨年「私をイラクに連れてって」とナンパ?されてからというもの、ほぼ毎月のように麗奈さんといっしょに話しているような気がするなあ。イラク、韓国、沖縄と、ずいぶんとまあ旅を重ねてきたものだ。そういえば、どうも昔から画家には奇妙な縁がある。やはりこれも絵描き(父:相澤一夫)の息子に生まれてきたからだろうか。
イラストの仕事に追い込まれているということで、麗奈さんは近くの温泉につかった後東京に蜻蛉返り。先日美術館トークの際にもカミングアウトしていたが、母子家庭となってしまったのでこれまで以上に稼がねばならず大変だろうなあと思う。
夜は今回の企画に繋げてくださったLAN TO IRAQ関係者、そしてこのアートレジスタンス展につなげてくださった伊神さんの紹介で、電気もガスもない山小屋バンバレーに泊まる。なんと山小屋生活6年というTさんと、案内してくださったD夫妻と、スタッフのKとで薪ストーブを囲んで深夜まで四方山話。ランプの光を頼りに、谷崎潤一郎ではないが陰翳礼讃。やはり夜はあの位暗いほうがいいいなあ。闇を排除しすぎた社会では本当の光も見えなくなってしまう。改めて文明に漂白されかけた自分を省みる。
翌日2月1日は念願だった清春白樺美術館へ。大好きな画家、ジョルジュ・ルオーの作品群に囲まれ法悦に浸る。ルオー礼拝堂に入るとバッハのオルガン曲に迎えられるが、スピーカーからだったのでやや悄然としてしまう。せっかくパイプオルガンがあるというのにあまり使用されてはいないようだ。しかし、ルオーがお祈りに使っていたという十字架と、彼が手がけたステンドグラスを拝むことができた。輪郭が黒く太く、見事な配色から生み出される光の表現が、悲しいほどに美しい彼の作品。以前はステンドグラス職人だったというのがよくわかる。
さて、イラクでは国民議会選挙後の奇妙な沈黙が続いている。大方のマスコミ報道では成功裏に終わったことを強調しているが、なにせ非常事態宣言という事実上の戒厳令下、国際監視団はいなく海外メディアも極端に少ない中で強行したこの歴史的茶番劇を、民主的選挙だったと評価することはどうしてもできない。しかしかれらはもう疲れ果てている。とにかく一日も早く、少しでも良くなってほしいと祈る気持ちは募る一方だ。
おまけ:「BBCニュースでこんなのがあった」とおしえてもらった。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4229377.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/in_pictures/4230505.stm
これもイラク市民によるアートレジスタンスであろう。
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