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September 02, 2004

真のイラク?

0829moroyama/IMGP3188
★写真は29日の埼玉毛呂山の会場

早いものでもう9月。8月末の三日連続講演は何とかやり終えたが、三日目の世田谷では2回講演だったのでさすがに後半は少し声を枯らしてしまった。やはり一回目と二回目の間、油断して何も食べなかったのがいけなかったのかもしれない。どうにも伝えたいことがありすぎるのと、全身に滞留するバグダッドでの熱風を放出する必要があったので、話すだけでも相当お腹が減るものだ。各会場とも予定の時間を超えて話してしまったが、みなさん真剣に耳を傾けてくれてとてもありがたかった。

イラクに行って帰ってくるたびに、情報量、話すべきことが増えていって、どこを削るかでいつも悩む。戦前から戦中、そして現在に至るまでの流れを説明しないと見えてこないことも多く、最新の報告だけをするわけにはいかないからだ。そして行くたびに、どうしてもこれを伝えてくれというイラク人の声も増えていくからなおさらだ。彼らには他になかなか伝える手段がないからか、とにかく真のイラクの姿を世界に伝えてほしいという声をよく聞いた。

真のイラクの姿と言えば、今回バグダッドに滞在中アルジャジーラの支局が閉鎖されたとき、あれは仕方がないなどと言ってあまり反対する声がなかったのには驚いた。「アルジャジーラは中東の事実を伝える貴重なメディアではないか」とサラマッドに言うと、「しかしとても偏った事実だ。イラクの悪い印象ばかりを世界に与え続けている。おかげで外国人はみんな怖がって誰もイラクに来なくなってしまった」と、あまりいい印象ではないようだった。特に通訳など外国人と仕事をするイラク人にこういう意見が多かった。

他にもアルアラビーヤなど他の衛星放送も同様に偏っており、まともなのはアブダビTVくらいだとも聞いた。そういえば8月7日に行ったヒロシマ・ナガサキ忌の即興アートパフォーマンスの際も、いくつかの衛星放送のメディアにも呼びかけたのにも関わらず、来たのは国内メディアばかりだった。「連中の関心は戦闘や爆破や誘拐ばかりで、平和には特に関心がないんだよ。本当は、もっとイラクの今の普通の暮らしや、文化を伝えてほしいのに」

なるほど、アメリカからすればアルジャジーラはあまりにも反米すぎると嫌われているのだが、イラク人からは、あまりにもイラクが危険だというイメージばかりを拡げすぎるということで、あまり好かれていないのかもしれない。

日本でも特に大きな事件がないと今ではもうイラクのことをあまり取り上げなくなっているようだ。まあもともと何か事件があるからニュースになるわけであり、何でもない日常はあまりニュースにならないので、どうしても印象は偏ってしまうものかもしれない。しかし、「あれだけ過去日本企業がイラクに来ていたからこそ、イラク人の日本人に対する印象はとてもいいというのに、その反対にどうして日本人は文化面やイラクのいいところをもっと伝えてくれなかったのか」と言われたときには、全く虚をつかれる思いだった。

いつもそうであるが、今回の滞在では特にこうした声を聞くことが多かった。やはり実際に生活してみないとわからないことだらけではあるし、行くたびにますますわからなくなることも多いが、例え少しずつでも、同じ市民の立場で見て触れた彼らの微笑ましい日常や豊かな文化を伝えていきたいと思うし、今日のようなイラクの状況でも、活動を通してこのようなつながりが保てていることに、改めて感謝の気持ちでいっぱいだ。
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★写真は昨年10月ヒッラからの帰り道、道路脇でナツメヤシの民芸品を売る少年。
「TOKYO? テクノロジー! IRAQ?デーツ!(ナツメヤシ)」と自慢していた。


先日は友人の安田純平くんと日本酒を飲み交わしながらそんな話をしていた。日本に帰ってきて飲む日本酒の味は格別だ。ところで安田純平くん人気もついに日本酒のブランド化だって?そんなわけないか。でも気になるので今度注文してみようかなあ。

うまい酒を飲んで帰ると、その安田くんから沖縄からのメールが転送されてきた。米軍海上ヘリポート建設のための沖縄名護市辺野古沖でのボーリング地質調査が強行されそう だとのことだ。「おもいやり予算」によって、4月のイラク、ファルージャ大虐殺に参加したキャンプ・シュワブの米海兵隊のために、さらにわれわれの税金が一兆数千億円もつぎ込まれようとしている。日米安保、そして現在のわれわれの生活は、一体誰の犠牲の上に成り立っているのか。イラク、そして沖縄にも、共同の責任、そして現在の戦争責任を負うわれわれ一人ひとりが考えていかなければならない問題だ。

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Comments

3日連続の報告会、お疲れ様でした。30日は、前日まで寝込んでいたのですが、何とか世田谷へ行き、お話を聴くことができ、良かったと思います。何より、無事に帰国されたことを嬉しく思いました。
120分の報告、良かったですよ。改めて思ったのは、YATCHのその原動力は何なんだろうか、ということでした。
そんなお話も今度、聴いてみたいと思っています。
イラクのすばらしいところを日本の人に伝えてください。
でも、健康には気をつけて。

Posted by: Shalom | September 02, 2004 at 08:32 PM

Shalomさん、お返事遅れました。
講演来ていただきありがとうございました。

原動力といえば、僕もいつもイラクの人々の原動力とは何だろうと思っているんですよ。

今度是非その辺についても話しましょう。楽しみにしています。

Posted by: YATCH | September 08, 2004 at 06:48 AM

Great information. Lucky me I ran across your site by accident (stumbleupon). I have book-marked it for later!

Posted by: rencontregayfr.info | September 17, 2014 at 10:10 PM

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