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August 12, 2004

ムサーナ・アル・ダリ氏、クバイシ先生と会ってきました(8/10)

先日イラク・イスラム法学者協会のムサーナ・アル・ダリ氏が米軍に拘束されたとき、人質解放の際氏にお世話になった郡山総一郎さんが、解放を訴える記者会見を8月6日に広島で開こうとしていた。前日の5日に解放されたので記者会見は取りやめになったが、無事解放のお祝いと人質解放時の感謝の手紙を書いてもらっていたので、サラマッド、ハニさんといっしょに法学者協会事務所があるウム・アル・コラモスクに届けに行った。残念ながら日本のメディアはほとんどこの事件を取り上げなかったが、日本の市民、とりわけ郡山さんら当時お世話になった方々はとても心配して、ムサーナ氏の解放に向けて動いていたことを伝えるべきだと思ったからだ。

0810umalqora/IMGP2981
ウム・アル・コラモスクは閑静なバグダッド郊外にある。中央の礼拝堂を囲み、青藍色と石灰色の簡素な色の組み合わせが美しい数基の光塔が屹立していて、紺碧の空に溶けていくような透き通った印象を受けた。門をくぐると、礼拝堂の周囲の堀に湛えられたエメラルド色の水が微かにたゆたい、天穹の碧さと戯れている。上空から俯瞰するとアラブ世界の地図になっているらしい。

応接間に案内されると、ムサーナ氏といっしょに、先日日本から帰国したばかりのクバイシ先生も同席されていた。ムサーナ氏はアルジャジーラHPの写真でしか見たことがなかったが、思いのほか小柄で物腰はとても柔らかく、眼差しは知的であるがやさしそうな瞳で笑顔が素敵な方だった。クバイシ先生も同じくとても温かい方だったが、テレビでみた印象より大きく見えた。お二人ともとても高名な方なのに、全くそうしたそぶりを見せずに我々を客人として温かく迎えてくれた。先日この件では門前払いになった某国大使館とのあまりの対応の違いに驚いた。
kubaisi/IMGP2976
クバイシ先生は、日本では高遠さんと今井君に再会できてとても嬉しかったこと、多くのメディアから実は裏でお金が動いていたのではないかと質問されたが、解放に際しては純粋に人道的見地から働きかけたということ、また日本政府からの接触はなく市民の連帯が彼らを助けたのだということを強調されていた。そして実際に日本に行ってみて、日本人が優れた技術をアメリカのように物質文明一辺倒に使用するのではなく、精神的な文化の歴史に基づいて人道的に使用することの出来る人々だと確信した。これからもそうした姿勢でイラクと関わってほしいとおっしゃってくれた。昨今の政治家の発言を聞いていると正直言って心もとないが、少なくともクバイシ先生からみた日本の市民の印象ということでありがたく受け止めた。

ハニさんと先日のヒロシマ原爆忌のイベントやLAN TO IRAQなどについて説明し、このようにイラクの豊かな文化を世界に伝えようと活動していることを話すと、同席されていたナジーブさんという方から「イラクと言えば戦争、そしてイスラムと言えばテロリストといったアメリカの宣伝に飲み込まれてしまったのか、これまであれほど多くの日本企業がイラクにきていたにも関わらず、これほどまで真のイラクの姿が伝わっていないのはどうしてなのか。これまで誰もイラクのことを伝えてくれなかったのか。イラクの豊かな文化、そしてイスラムの真の姿を伝えてほしい」と言われる。70~80年代に多くの日本企業がイラクのインフラ整備等に関わってきたことはよくイラク人との話に出るし、当時の日本人の仕事に対するまじめな態度や振る舞いなどが現在の親日感情を育んできたのは間違いないのだが、こうしたことはイラクに来てこそよく聞くものの、逆に日本でそうしたイラクとのつながりを聞くことは極めて少なかったことに気付かされた。

ムサーナ氏に郡山さんからの手紙を渡すと、実に柔和な笑顔で謝辞を述べられて、イスラム教理解のための小冊子をいただいた。米軍に拘束された理由についてはいまだにさっぱりわからないという。それでも決して怒りを表すわけではなく、拘束中は割と丁重に扱われていて、内部で解放に向けて働きかけてくれた方がいたらしく、その方のお陰だと感謝されていた。そして、「まさに拘束されていたその時に、このように郡山さんをはじめ日本の方々が私のことを心配していてくれてとても嬉しく思いますし、このメッセージは私にとってとても意味が大きく、価値のあるものです。どうかよろしくお伝えください。そして、ここ最近イラクで日本人に起こった事件がイラクと日本の友好関係を損なうことは決してないでしょうし、こうした問題はまもなく終わると信じています。文化、教育、政治、あらゆる面で、今後も日本との連帯を望みます」とのメッセージをいただいた。
muthana/IMGP2977

短い滞在であったが、静謐なモスクの雰囲気と、ムサーナ氏、クバイシ先生たちの温かさに触れ、馨しい薫陶を受けたような気がした。文明の成熟度をそこに住む人間の精神面での完成度で測るのならば、イラクは古から文明国であり続けていると思う。履き違えた文明の利器を振りかざし野蛮に対する戦争と称して罪のない人間を巻き込んだ殺戮を正当化させていく自称文明国など足元にも及ばないのではないか。

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Comments

 パソコンが身近にない環境で過ごしています。義母の家からインターネットカフェまで遠くって…
 ところで、サドル氏の負傷を含め、イラクは「停戦合意が出来るかもしれない」とは言っているものの、一日で170人以上の死者が出てしまうなど、先の見えない状況を繰り返している様に思えます。
 ある部分ではアメリカに利用されてしまう事もある複雑な宗教・民族関係が、多くの人の命を奪う事につながっているのでしょうか…
 YATCHの優しさが、「ムサーナ氏、クバイシ先生たちの温かさ」を呼び寄せているのかもしれませんね。気を付けて下さい。お会い出来る日が、待ち遠しいです。

Posted by: kero | August 14, 2004 at 04:19 PM

keroさん、
イラク人の間でも、ムクタダ(サドル)は若すぎる、今戦っても犠牲が増えるだけだと言う声をききます。バグダッド市内もサドルシティー中心にかなり状況は悪化しています。とくに明日からは延び延びになっていた国民大会議が始まるようなので一層気をつけますね。

Posted by: YATCH | August 14, 2004 at 08:52 PM

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