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August 03, 2004

ハニさんとの再会 カラダでの爆発(8/1)

日本平和委員会の布施さんがバグダッドに来るというので、バグダッド国際空港までサラマッドと迎えに行く。発電機の音で聞こえなかったが、朝どこかで爆発があったらしくずいぶんと道が混んでいた。空港にたどり着くまでは、さらにチェックポイントのせいで大渋滞。灼熱の太陽の下、エアコンのない車で立ち往生はさすがに苦しかった。米軍関係車両はすいすいと別車線を走り抜けるのを見て、昨年秋にパレスチナのナブルスに行く途中、チェックポイントでユダヤ人入植者の車がすいすいと通り抜けていく姿を思い出した。

ようやくたどり着いたチェックポイントではネパール人が警備にあたっていた。到着時刻から一時間以上大幅に遅れてしまっていたため、きっともう空港にはいないだろうと思っていたが、ちょうどそのチェックポイントで布施さんに会うことが出来た。

LAN TO IRAQ でお世話になっているイラク人アーティスト、ハニ・デラ・アリさん の招待でナショナルシアターへ。ハニさんは先月シリア、ダマスカスで行われたカルチャーウィークにイラクの劇団の一員として参加してきたそうだ。ステージ上、劇のバックで大きな絵を描くライブペインティングで、表情のない米兵の影に挟まれて血の涙を流すイラク人の母親の顔を描いたという。劇の内容は、35年間の兵役に疲れ果てて、ようやく母親の元に戻り軍服を脱いだイラク人兵士が、今度はイラクの外に出ようとする。初めてたどり着いた国境では、壁ばかりでどこの国も受け入れてはくれない。仕方なしに母親の元に戻ると、今度は占領下の混乱でまた軍服を着て戦わなければならないという現実が待っていたという悲劇だそうだ。今月再びシリアで公演があり、その後レバノン、エジプトと周るらしい。イラクとの文化交流のために企画されたカルチャーウィークでは、劇のほかに現代美術の展覧会、民族音楽の演奏などがあるという。是非とも観てみたいと思ったが、残念ながらイラク国内での公演は予定されていないようだ。

週二回ほど打合せも兼ねて劇団のメンバーなどがこのシアターに集まるらしく、他にも様々なアーティスト、音楽家、俳優などが一堂に会しさながらサロンのような雰囲気。4月にヘワーギャラリーで会った俳優のジャラルさんも来ていた。
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(左からサラマッド、ジャラルさん、ハニさん、筆者)
ハニさんと布施さんを事務所に招待して談笑、並びに今後のLAN TO IRAQの展覧会について打合せ。戦争などで破損したイラクの美術品を修復するために、ハニさんは10月から半年ほどポーランドで古美術修復の技術を学んでくるというから、その向上心の高さには頭が下がる。レストランに移動して食事をとりながらイラクの現状について話を聞いた。アーティストとしては、もっとイラクアートを世界に知ってもらいたいのだが、アーティスト達だけの力ではどうにもならないので世界の助けが必要だと言う。また、暫定政権に対してもかなり批判的で、暮らしぶりも治安もなにも変わっていないと顔をしかめた。これまで街で聞いた感じでは、割と評価している人が多かったので、やはり様々な見方があるなあと思った途端、ドウンという凄まじい衝撃音と共に店内に大きな振動が走った。てっきりこのレストランの上部に何か打ち込まれたのではないかと思うほどで、皆驚いて外に飛び出した。サドゥン通りとカラダ通りの間、レストランから約数百メートルほどしか離れていないところから、灼熱の空を焦がすようにどす黒い煙が猛然とした勢いで舞い上がっていた。
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かけていく野次馬をよそ目に、「行こう」とため息交じりに席を立ち車に乗り込んだハニさん。彼のあんな苦渋に満ちた表情は初めて見た。「お願いだから今日は外に出ないでくれ」という彼の願いを聞いて、サラマッドと事務所での作業を続けようとすると、再びボンという衝撃音。どうやら先程の爆発地点からそう離れていないところらしい。そして2箇所とも事務所から歩いて5分ほどの距離である。サラマッドと顔を見合わせると、戦時下に浄水場で共に過ごした日々の記憶が甦る。彼も同じことを考えていたようだ。

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Comments

「もっとイラクアートを世界に知ってもらいたいのだが、アーティスト達だけの力ではどうにもならない」過去からの弾圧と、今なお危険を常に感じ育まれているであろう感性。その感性が創り出す世界。自由に交流が出来る日が早く来ると良いですね!  それにしても随分近い所での爆発。。。こればっかりは、気を付け様が無いのかもしれませんね(>_

Posted by: kero | August 03, 2004 at 10:16 AM

新聞報道で、モスルのキリスト教会が爆破され、少なくても11人が死亡したとありました。暫定政府はザルカウィ氏の犯行と言っているそうですが、はたしてそうなのか……。犯行声明も出していないということだし。それと、フランスのNGO「ACTED」のイラク人スタッフ3名と運転手1名がナジャフにおいて遺体で発見されたとのこと。イラクでいったい何が起こっているんだろうかと、少なからずショックを受けています。
とにかく皆さん、気をつけてくださいね。

Posted by: Shalom | August 03, 2004 at 06:24 PM

Shalomさん、バグダッドでは教会を多く見かけますし、事務所の近くにもあるので私もショックでした。とにかく気をつけて活動します。

Posted by: YATCH | August 05, 2004 at 01:06 AM

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